食事をしたときに、あごの下に痛みを感じたことはありませんか?食事をするたびに痛みが出る場合は、唾石症という病気になっているかもしれません。
放置すると腫れや痛みが悪化して、手術が必要になる場合もあります。この記事では、唾石症の症状や治療法、自宅でできる予防法などを紹介しています。
唾石症とはこんな病気
唾石症とは、唾液が作られるところ(唾液腺)や唾液の通り道である管(導管)に石が詰まり、痛みや腫れを引き起こす病気です。
似た病気に尿管が詰まる尿路結石や、胆管が詰まる胆管結石などがあります。唾液は耳下腺・舌下腺・顎下腺の3か所で作られますが、とくにあごの下にある顎下腺で発症しやすいです。
唾石症になる原因
導管に入った細菌や異物などを核にして、唾液中のリン酸カルシウムや炭酸カルシウムが沈着することで唾石が作られます。唾石が徐々に大きくなり唾液の通り道を完全に塞いでしまうことで、唾液の逆流や炎症が起こり、唾石症の様々な症状を引き起こします。
唾液の流れが悪いと唾石ができやすいため、水分摂取の少ない方や薬の影響で唾液の分泌が少ない方は注意が必要です。カルシウムが豊富なミネラルウォーターを愛飲している方は、唾石ができやすいという報告もあります。(参照)
唾石症の症状
症状の特徴は、唾液が分泌されている食事中や食後に痛みや腫れが出ることです。とくに酸味が強く唾液が分泌されやすい食事は、症状が強く出る可能性があります。
食事から時間がたつと徐々に改善していきますが、食事をするとまた症状が出ます。唾石症の主な症状は以下の4つです。
- あごの下や耳の下の強い腫れや痛み
- 舌の裏側の異物感
- 唾液が出にくくなる
- 口の中の乾燥
唾石症の初期症状
唾石が小さくて唾液の流れに問題が出ていないのならば、自覚症状はほとんど感じません。
唾液の流れが悪くなってくると、口が乾きやすくなったり、食事をするたびにあごや耳の下に違和感を覚えたりするなどの軽い症状が出る可能性はあります。
唾石症を放置するとどうなる?
唾石症を放置すると、口の中の細菌が唾液腺へ逆流し、細菌感染を引き起こす可能性があります。細菌感染の影響で炎症がひどくなると、発熱や顔の腫れ、口から膿が出る場合もあります。
唾液には殺菌作用があり、口腔内を清潔に保つために必要な液体です。唾石症が悪化して唾液が十分に分泌されないと、口の中に菌が増えて口臭や歯周病の悪化にもつながります。
唾石症の治療方法
すでに細菌感染を起こしていたり痛みや腫れが強かったりする場合は、抗生物質や鎮痛剤を使用します。唾石が小さく症状が軽い段階では、水分補給やマッサージなど行い自然に唾石が排泄されるのを待ちます。
ただし、唾石が自然に出てこなかったり、症状が長引いたりした場合は唾石を取り出す手術が必要です。手術は口の中から行う「唾石摘出術」とあごの下から行う「顎下腺摘出術」があり、唾石の位置や数などで変わります。
手術の概要や手術費用について
唾石が舌の裏や口腔内表面に近い場合は、口の中から切開して唾石をとる唾石摘出術を行います。
手術は局所麻酔で行い、30分程度で終わります。入院などはせず、日帰りで行う場合がほとんどです。費用は、3割負担で6千円〜1万円程度です。
唾石が奥の方にあったり、複数あったりする場合はあごの下から切開して唾液腺ごと切除する顎下腺摘出術を行います。こちらの手術は全身麻酔で行い、1週間程度の入院が必要です。
手術費用は高額療養費制度の対象になり、所得によりますが8万〜10万円程度かかります。
自然排出されるためのマッサージ
唾液腺をマッサージして唾液の分泌を促すことで、唾石が排泄されやすくなります。
マッサージの方法は、下アゴの内側の柔らかいところに親指を押し当てて、耳の下からアゴの下にかけて5ヶ所程度軽く押し込みます。食事のあとや入浴中など、1日5回程度行うとよいです。
唾石症を防ぐための予防法
唾石症を予防するためには、唾液腺から唾液をたくさん出すことが大切です。
普段からよく噛んで食事をとり、梅干しやレモンなど酸味がある食品を意識してとりましょう。唾石を出すための唾液腺マッサージは、唾石を排泄させるためだけでなく予防にも効果的です。
唾石症を見つけるための検査
唾石が口の中の表面付近にあれば、医師が直接触って検査することで見つけられます。
超音波検査(エコー検査)やCT検査などの画像検査も有効です。とくにCT検査を行えばより詳しく調べることが可能で、小さな唾石も確認することができます。
あごに痛みがあり唾石症の疑いがある場合は病院へ
唾石症が悪化して手術が必要になる場合、高額な医療費がかかるだけでなく、大切な顔に傷がついてしまう可能性があります。唾液腺マッサージや唾液を出しやすくする食生活を心がけて、唾石ができないように注意しましょう。
もし食事中に耳の下の腫れやあごの痛みなどの症状が出る場合は、我慢せずに早めに耳鼻咽喉科に相談しましょう。
記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。