【声がかれる】声帯ポリープの症状・治療方法・手術・原因を解説!

目次

声帯ポリープとはこんな病気

声帯ポリープとは、声帯にふくらみ(ポリープ)ができる病気です。声帯とは喉の奥に左右に1本ずつ存在するヒダ状の器官です。ポリープは血豆のようなもので、声帯ポリープは左右どちらか1つの声帯にできることが多いです。声帯ポリープは大声をだすこと、喫煙習慣、風邪などが原因とされています。

動画でも声帯ポリープについて解説しているので、合わせてご覧になってください。

そもそも声帯とは

声を出すために声帯が重要な役割を果たします。声帯は喉頭(のどぼとけ)の奥にあり、ヒダ状で左右に1本ずつあります。また、筋肉からできていて、粘膜でおおわれています。

発声のしくみ

声帯は呼吸時には開いているのですが、声を出す時は密着し、吐く息による振動で声を作り出します。

声帯ポリープの症状

声帯は声を出すときに使われます。本来声帯の縁はまっすぐで声を発するときにはぴったり閉じます。しかし、声帯にポリープができると完全に閉じることができず、その結果「声が出ない」「声がかすれる」などの症状が現れます。極端な場合、大きなポリープができて呼吸困難を引き起こすこともあります。

<声帯の主な症状>

  • 声のかすれ
  • 声がれ(嗄声)
  • 声が出ない
  • 声が低くなる
  • のどの違和感
  • 呼吸困難(非常に大きいポリープの場合)

声帯ポリープの初期症状

声帯ポリープができると、最初に喉に異物感を感じることがあります。喉がイガイガするような感覚が続くこともあります。このような症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

声帯ポリープかどうかのセルフチェック

目安として15秒以上声が出し続けられれば声帯が健康と判断できます。

声帯ポリープは放置するとどうなる?

適切な治療を受けずに放置を続けると、ポリープが大きくなることがあります。また、本来は片方にできるポリープが反対側にも症状が出てくる場合もあります。

声帯ポリープの治療方法

声帯ポリープの治療法は保存療法と手術療法があります。保存療法では薬によって声帯の炎症を抑えます。逆に改善が見込めない場合は、手術療法に移行しポリープを切除します。ただし、一度ポリープができると再発しやすいため、声帯に負担をかけない生活習慣を身につけることが重要です。

声帯ポリープは自然治癒することはある?

声帯ポリープは大きな声を出さずに安静を保つことで自然治癒することがあります。ただ、声をだす職業の人(幼稚園、小学校の先生や歌手、アナウンサーなど)は自然治癒は難しいといわれています。

声帯ポリープの手術

手術には2種類の方法があります。1つめは全身麻酔をして喉頭顕微鏡にて手術する方法、2つめは局所麻酔でファイバースコープを挿入しポリープを切除する方法です。

手術の流れ

まず、術前検査を通じて患者さんが手術を受けて問題ないか確認します。その後、手術自体は日帰りか入院かで行います。手術が無事に終わった後は、約一週間声を出さないで過ごしていただく必要があります。その後の経過観察期間で、治療の効果と患者さんの回復状況を確認します。

手術の後に注意する点

術後の声帯の傷を安静に保つために約1週間の沈黙が必要です。これを沈黙療法と言います。

手術にかかる費用の目安

費用については、全身麻酔での入院手術は約7万~10万円局所麻酔での手術は片側約1万5千円、両側だと約3万円となります。これらは自己負担額3割、高額医療費制度を利用した場合の概算で、所得や手術内容により異なる場合があります。

声帯ポリープになる原因

声帯ポリープの原因は声の使いすぎが最も多く、次いで喫煙習慣や風邪があります。炎症により声帯の粘膜が充血し内出血を起こし血腫(血豆のようなもの)になります。血種は安静にしていたら小さくなるのですが、無理に声を出し続けると声帯ポリープになってしまいます。

声帯ポリープが癌になる確率はある?

声帯ポリープが癌になることはありません。しかし、長期間喫煙している人、喉の炎症をおこしやすい人は咽頭がんのリスクが高いです。また、非常にまれではありますが、ポリープのように見えて、がんだったということもあります。

声帯ポリープに関連する病気

声帯ポリープによくみられる症状「声がれ」「声がかすれる」という症状は声帯結節や反回神経麻痺、ポリープ様声帯などでよくみられます。

声帯結節

声帯結節は、声帯の左右対称に「たこ」のような硬く厚いものが声帯のこすれあう部分に生じる病気です。特に小児に見られるものは、小児結節と呼ばれます。

声帯結節の症状

声がかすれる・かれる・出しにくいといった症状がでます。声の調子が変わりやすく、声を使わない時間は問題がないことが多く、長時間声を出すと声がでにくくなることがあります。

声帯結節の治療方法

声帯結節は声を出さない・使いすぎないことで喉を休めると徐々に回復します。

特にお子さんの場合、変声期をすぎると自然に治る場合が多いので基本的に経過観察をします。

大人の場合でも、まずは経過観察を行い、それでも症状が改善しない場合は手術を考慮します。

声帯結節の原因

声帯結節は、主に声のつかいすぎが原因となります。大人の場合、日常的に声を大量に使う職業の人に多く見られます。一方、お子さんは声帯がデリケートであるため、大声を出しすぎると声帯結節を発症しやすいです。

反回神経麻痺

反回神経は声帯の運動を制御する神経です。左右の声帯それぞれを別の神経が動かしていますが、片方の反回神経が麻痺すると声がかすれる、または食べ物が気管に入ってしまう誤嚥が起こります。

反回神経麻痺の症状

反回神経麻痺には声のかすれや小声でしか話せないなどの症状があります。声帯が開いた状態で動かなくなると、声が出なくなり日常生活に支障をきたします。また、息切れしやすい、飲み込みにくい、むせやすいなど呼吸や嚥下にも影響を及ぼします。

反回神経麻痺の治療方法

一次的な麻痺の場合は発症から半年間で自然に治ることもあります

その後の治療は、対症療法か原因への対処となります。対症療法としては、ステロイド薬を使用した治療、声帯へのヒアルロン酸や脂肪注入、甲状軟骨形成術などがあります。

反回神経麻痺の原因

反回神経は脳から首、食道に沿って下降し、肺で上に上がって喉の声帯に繋がります。したがって、のど・甲状腺・食道・肺のがんや大動脈瘤によって反回神経を圧迫すると反回神経麻痺が引き起こされます。

ポリープ様声帯

ポリープ様声帯とは声帯全体が水ぶくれのようになった状態を指します。ヘビースモーカーの方や大きな声を出す職業の方に多い疾患です。

ポリープ様声帯の症状

ポリープ様声帯の症状としては、声帯が閉じなくなり、声がかれますガラガラした低い声という特徴があります。また、声帯が腫れると空気の通り道が狭くなるため、呼吸困難を引き起こすこともあります。

ポリープ様声帯の治療方法

治療の基本は禁煙、大声を出さないことです。発声訓練を行うことも有効です。

軽傷の場合は吸入療法で様子を見ます。しかし、それでも改善が見られない場合は、粘膜の下の腫れた部分を除去する手術が必要となることがあります。

ポリープ様声帯の原因

喫煙や飲酒、大声で話す習慣がポリープ様声帯を引き起こす主な原因です。声をよく使う職業(幼稚園や小学校の先生、アナウンサー、歌手など)の人や、飲酒する習慣のあるヘビースモーカーの人はこの疾患にかかりやすい傾向があります。

歌手や声をよく使う方が喉に違和感があれば声帯ポリープの疑いあり

大きな声をだす職業の人で、喉の違和感がある場合は声帯ポリープの可能性があります。初期であれば保存療法で症状が改善する可能性も十分にあります。そのため、喉に違和感が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することを推奨します。

記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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