風邪をひいたとき、のどがとても痛くなることはありませんか。それは急性咽頭炎という病気かもしれません。
自然に治ることも多いですが、適切に対応しないと感染を広げてしまったり、重篤な合併症を引き起こしたりする可能性があります。この記事では、急性咽頭炎の症状や治療方法、原因についてわかりやすく解説します。
動画で急性咽頭炎について知りたい方はぜひ以下も合わせて見てみてください。
急性咽頭炎とはこんな病気
急性咽頭炎とは、のどの奥にある咽頭(いんとう)に急性の炎症が起こり、のどの痛みや発熱などを引き起こす病気です。唾液を飲み込むこともつらく感じるほど、のどが痛くなる場合があります。
主な原因はウイルス感染ですが、細菌感染によっても発症します。咽頭は鼻や口から入った空気が直接触れるため、大人から子供まで幅広い年齢で発症する可能性のある病気です。
急性咽頭炎の症状
急性咽頭炎の症状は、強いのどの痛みがでるのが特徴です。痛みがひどくて食事を満足にとれない方もいます。そのほかに発熱や咳など風邪のような症状がでる場合があります。
主な症状は以下の通りです。
- のどがいたい
- 飲み込むのがつらい(嚥下痛)
- 食事がとれない
- 痰や咳がでる
- 声がかすれる
- 発熱
- 全身の倦怠感
- 首のリンパの腫れ
そのほかにものどは耳と神経でつながっているため、耳が痛いと感じる場合もあります。
急性咽頭炎の初期症状
初期症状はのどが乾いたような乾燥感や、異物感などのイガイガを感じる場合が多いです。
小さいお子さんでは、飲み込みがつらくなって食事を嫌がったり、よだれが多くなったりする場合もあります。
急性咽頭炎は人にうつる病気?
急性咽頭炎は咳やくしゃみなどの飛沫から他人にうつる可能性があります(飛沫感染)。タオルや食器を共有した場合も感染のリスクがあるので注意してください。
マスクや手洗いうがいを徹底して、他の人へうつさないように気をつけましょう。
急性咽頭炎はどれくらいの期間で治る?
のどの痛みは最初の2-3日が一番ひどく、時間が経つにつれて徐々に改善していきます。ほとんどの方は1週間程度で完治します。
重症例や特殊な咽頭炎でなければ、基本的に2週間以上症状が続くことはありません。
咽頭炎を放っておくとどうなる?
炎症が咽頭以外にも広がってしまうと、副鼻腔炎や気管支喘息の悪化などにつながってしまう可能性があります。
さらに、溶連菌などの細菌感染が原因の場合、ごくまれにリウマチ熱や扁桃周囲腫瘍などひどい合併症を発症してしまう可能性があります。
急性咽頭炎の治療方法
急性咽頭炎は自然治癒する場合も多く、基本はつらい症状をおさえる対症療法です。患者さんの症状に合わせて、のどの炎症を抑える薬や熱を下げる薬などを使います。
炎症がひどい方は、外来でステロイドのネブライザー吸入治療を行う場合もあります。ただし溶連菌などの細菌感染を起こしている場合は、リウマチ熱などの合併症を防ぐために抗生物質が必要です。
抗生物質は基本的に内服薬を使用しますが、食事がとれないほど重症な方には点滴による投与を行う場合があります。
のどの炎症を抑える薬
のどの炎症や腫れを抑えるためにトラネキサム酸という薬を使用する場合があります。痛みがひどい場合はアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤も有効です。
炎症を抑えるトローチ剤やうがい剤も併用すると効果的です。
細菌感染には抗生物質
診察で溶連菌などの細菌感染がわかった場合は、治療のために抗生物質が必要です。ペニシリン系の抗生物質を10日間続けて服用する方法が推奨されています。
アレルギーなどの体質や症状に合わせてセフェム系やマクロライド系の抗生物質を選択します。ひどい合併症を予防するためにも、処方された抗生物質は最後まで飲み切ってください。
急性咽頭炎になる原因
急性咽頭炎の主な原因は免疫力の低下によるウイルスや細菌感染です。疲れやストレス、寝不足などが続くと免疫力が下がってしまいます。
咽頭は外部とつながっているため、喫煙習慣や冷えて乾燥した空気も良くないです。エアコンの利用は空気を乾燥させやすいので注意しましょう。
PM2.5や黄砂などに対するアレルギー反応も関与している可能性があると指摘されています。
急性咽頭炎に関連する病気
ひとことで「のどの病気」といっても、急性咽頭炎と近しい病気は複数あります。のどの部位は咽頭だけでも上・中・下の3つに分かれています。
さらに扁桃(へんとう)や喉頭(こうとう)などもあり、炎症がおこっている部位によって上咽頭炎や扁桃炎、喉頭炎など病名が変わるのです。似たような症状がでる場合もありますが、炎症が起きている場所によって症状や治療法は変わります。
>>急性扁桃炎(へんとうえん)とはどんな病気?症状や原因・治療方法まで解説!
上咽頭炎
鼻の奥の突き当たり部位に炎症が起こる病気のことを上咽頭炎といいます。上咽頭炎には急性上咽頭炎と再発を繰り返す慢性上咽頭炎があります。
炎症部位が耳に近いため、中耳炎など耳の病気の原因になる場合もあるのです。
上咽頭炎の症状
上咽頭は鼻に近いため、鼻の症状を訴えて受診される方も多いです。主な症状は以下の通りです。
- 鼻の奥の痛みや違和感
- 鼻水がのどにたれるような症状(後鼻漏)
- 鼻の奥からのどにかけての乾燥感
- 咳や痰
- 鼻の奥がにおう
- 耳のつまり
- 頭痛
- 倦怠感
そのほかにも、上咽頭は迷走神経や自律神経にも関係があり、めまい症状がでる場合もあります。
上咽頭炎の治療方法
原因や症状に応じた対症療法や抗生物質による治療、ステロイドのネブライザー吸入治療を行います。上咽頭炎に効果的な治療方法に「Bスポット治療」があります。
Bスポット治療とは、上咽頭に綿棒で直接塩化亜鉛などの消炎剤を塗る治療です。急性上咽頭炎の場合、1回のBスポット治療で症状が軽くなる場合があります。
Bスポット治療に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>【当院で治療可能】Bスポット治療(EAT治療)について解説!上咽頭炎やコロナ後遺症に効果的な治療法
上咽頭炎の原因
上咽頭炎の主な原因はウイルス感染や細菌感染です。乾燥した空気や急激な気温の変化、ストレスなどによって免疫力が低下したときに発症しやすいです。
他の人の唾液などからうつる(飛沫感染)ので、マスクの着用や手洗い、うがいで予防しましょう。上咽頭の乾燥はうがいや水分補給だけでは難しいため、予防として鼻うがいを行うのも効果的です。
急性喉頭炎
咽頭と気管をつないでいる喉頭(こうとう)に炎症がおこると喉頭炎になります。喉頭炎にも急性喉頭炎と慢性喉頭炎があります。
喉頭には声を出すための声帯や、食べ物が気管に入らないようにフタをする喉頭蓋があり、喉頭に炎症が起こると発声障害や誤嚥の原因になります。
急性喉頭炎の症状
喉頭は呼吸や発声に関与しており、炎症などで腫れてしまうと呼吸がしにくくなったり、声がかすれたりしてしまいます。主な症状は以下の通りです。
- 声のかすれ
- 声が出しにくい
- 続く咳
- 痰
- のどの痛み
- 発熱
急性喉頭炎の治療方法
原因や症状に応じて対症療法や抗生物質による治療、ステロイドのネブライザー吸入治療を行います。室内の乾燥を避けて、声をあまり使わないように気を付けてください。
教師や歌手など声を良く出す仕事をされている方は、声の出し方を指導する場合があります。
急性喉頭炎の原因
急性喉頭炎の主な原因はウイルス感染や細菌感染です。喫煙やホコリも喉頭炎の原因になりますので、禁煙を心がけてマスクを着用してください。喉頭は声を出す部位に近いため、声の出し過ぎも良くないです。
また、胃酸がのどに戻ってくる逆流性食道炎が原因で発症したり、ひどくなったりする場合もあります。
急性咽頭炎によるのどの痛み・症状は早めに対処しよう
急性咽頭炎は自然に治ることもありますが、細菌感染の場合重大な合併症を引き起こす可能性もあります。同じのどの病気でも、炎症が起こっている部位で症状や治療方法は変わります。
鼻からカメラを入れて詳細に診断することが耳鼻咽喉科なら可能です。のどの痛みや声の出しにくさなど、のどに違和感を覚えたら専門の耳鼻咽喉科へ相談してください。
記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。