鼻出血・鼻血とは
鼻出血・鼻血とは、鼻腔(鼻の穴の中)からの出血のことです。医学的には鼻出血と言いますが、みなさんは鼻血というと理解しやすいと思います。
出血箇所はキーゼルバッハ部位からが8割を占めます。キーゼルバッハ部位とは鼻中隔(鼻の穴を左右に隔てている壁)の入り口近くの箇所であり、外からの刺激を受けやすく、血管が集中しているため出血につながりやすい部位のことです。
鼻出血の止め方・応急処置
鼻出血が起こると顔から血が流れるため、驚いてしまうのではないでしょうか。しかし、まずは落ち着くことが大切です。落ち着き安静にした状態で、次に記載する直接圧迫をためしてみましょう。
直接圧迫による止血
鼻出血はキーゼルバッハ部位から出血することが8割を占めるため、まずは鼻の下1/3部分を指で押さえて止血します。次に示す方法で止血される場合が多いので、ぜひ試してみてください。
- 落ち着いて、椅子に座ってください。
- 鼻を左右から親指と人差し指を使って小鼻(医学用語では鼻翼)を、あまり力を入れずに穴が閉じるくらいの強さで押さえてください。鼻を「両側からはさんで潰す」イメージです。
- 頭を少し斜め前に傾けるようにしてください。
<注意事項>
上を向いて寝ないようにしてください。出血した血がのどに流れ込むことを防ぐためです。血液を飲み込むことで気持ち悪くなったり、嘔吐する可能性もあります。 - 鼻を抑え続けてください。通常は10分程度で止血します。
家で出血が止まらないときは病院にて治療
鼻の直接圧迫法で止血されるときは基本的に家で様子を見てもらって問題ありません。しかし、鼻を押さえ続けても30分以上出血が止まらない場合には病院を受診するようにしてください。
出血部位をレーザーで焼く
出血している部位が明らかな場合には、機械を使用して鼻の中の粘膜を焼き止血します。麻酔をしみこませたガーゼを鼻の中につめて麻酔がきいた状態で行うため、痛みの心配はありません。
出血源の特定が難しい場合は手術
出血箇所が特定できず、他の方法で止血できない場合には手術を行うこともあります。鼻中隔湾曲症で出血部位が見にくかったり、腫瘍から出血があったりする際には、止血操作以外の手術も併せて行う場合があります。
鼻出血の原因
鼻出血は子供と高齢者が多い傾向がありますが、子供と大人では鼻出血の原因が異なります。
子供は鼻炎や鼻をいじることによる出血が多く、大人は全身性の疾患が関係している可能性があります。
子どもや赤ちゃんに多い鼻出血の原因
子供は大人と比較し鼻の粘膜が弱いため、鼻出血が起きやすい傾向にあります。
- 熱によるのぼせ
- 鼻炎(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、風邪による急性鼻炎)
- 鼻を指でいじる、転んで鼻をぶつけた
子供は体温があがりやすいため、のぼせて血の流れがよくなり出血しやすくなります。また、鼻の粘膜の炎症によりかゆみを感じ指でいじってしまうことや、くしゃみや鼻水が出ることで鼻の粘膜が傷ついてしまい、出血を生じます。
大人や高齢者に多い鼻出血の原因
大人が鼻出血をした場合、鼻粘膜が傷ついたこと以外に全身疾患が原因の可能性があるため、注意が必要です。
- 血をサラサラにする薬を飲んでいる
- 高血圧、動脈硬化
- 肝臓・腎臓・血液の病気
- 鼻中隔湾曲症
- オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)
- がんなどの腫瘍
鼻出血が止まりにくい原因として、狭心症や心筋梗塞のために血液をサラサラにする薬を飲んでいることや肝臓・腎臓・血液の病気で血液を固める因子を作る働きが衰えることがあります。
また、血圧が高い状態の高血圧や血管がもろくなる動脈硬化では出血をしやすくなり、鼻出血につながります。
他にも、鼻の穴を左右に分ける壁(鼻中隔)が大きく曲がっていることで鼻詰まりや鼻出血が起こり日常に支障をきたす鼻中隔湾曲症という病気や、全身の血管に異常がおこる難病で「鼻出血をくり返す」ことが最も多い症状であるオスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)である可能性もあります。
非常に稀ではありますが鼻から出血をくりかえす人が受診をしたことで腫瘍が見つかることもあります。
鼻出血が起きやすい季節や時間
鼻出血は起きやすい季節は冬、時間帯は夜です。冬や夜は他の季節や時間帯と比べて鼻の粘膜が炎症を起こしやすかったり、血管が拡張しやすかったりするため、鼻の粘膜からの出血につながるためです。
鼻出血は冬に起こりやすい
冬は気温が下がり、空気が乾燥することで鼻の粘液が減り、粘膜が乾き傷つきやすくなります。その結果、鼻出血が起こりやすいです。
また、冬は風邪をひくことで鼻水がでやすくなり、鼻に触れたり、かんだりする機会が多くなることも出血がおこりやすくなる原因となります。
鼻出血は夜に起こりやすい
日中より夜に鼻出血が起こりやすいといわれています。夜はリラックスしていることにより副交感神経が優位となり、血管が拡張していることが要因と考えられます。
また、子供が寝ているときに無意識に鼻をこすり、出血して布団が血まみれになってしまったというケースもあります。
鼻出血が応急処置で止まらない場合は病院へ
鼻を抑えることで鼻出血が止まる場合には、すぐに病院に行く必要はありません。しかし、鼻を抑えても血が止まらない、鼻出血をくりかえす頻度が高い、出血量が多い、発熱があるなどの症状がある際には速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。