口内炎ができて痛い、早く治したいと思っているあなたに向けた記事です。
ひとことで「口内炎」といっても、その原因や症状はさまざまです。自然に治癒することも多いですが、対応を間違えてしてしまうと、治らないどころかむしろ悪化する可能性があります。
この記事では、口内炎になる原因や症状について解説し、合わせて治療方法とよく効く市販薬について解説します。
口内炎の種類と原因
口の中やその周りの粘膜に炎症が起こることを口内炎といいます。口内炎にはさまざまな種類があり、症状や原因によって分類されます。
口の中をかんだり食べ物で傷ついたりして起こる物理的な刺激や、疲れやストレスなどによる免疫力の低下からくるウイルス感染、食生活の乱れによる栄養不足などが主な原因です。
全身性の危険な病気の症状として、口内炎ができる場合もあります。口内炎を早く治すためには、原因にあわせた適切な治療をおこなうことが大切なのです。
アフタ性口内炎(潰瘍性口内炎)
一般的に、もっとも多く見られる口内炎がアフタ性口内炎です。直径数㎜程度の円形(楕円形)の白い潰瘍で、周囲が赤く腫れていることが多いです。
食事や歯磨きなどで少しでも刺激が加わると、強い痛みを感じます。頬や歯ぐき、唇の裏側などにできやすく通常は治療しなくても1〜2週間程度で自然に治ります。
再発を繰り返したり、広い範囲に発生したりする場合は、ベーチェット病など全身性の病気が隠れているかもしれないので注意してください。
アフタ性口内炎の原因
ストレスや疲れによる免疫力低下や睡眠不足、ビタミンB2などの栄養不足による口腔内環境の乱れが主な原因です。口の中にできた傷から発症する場合もあります。
女性の場合、生理などでホルモンバランスが乱れた時に発症することもあります。
アフタ性口内炎の治療法
アフタ性口内炎の多くは、とくに治療しなくても自然に治癒します。刺激のある食事を避けて、うがい薬でうがいをして口腔内を清潔に保ちましょう。
早く治したい時はステロイドの外用剤を使用したり、ビタミン剤を服用したりします。
ヘルペス性(ウイルス性)口内炎
単純ヘルペスウイルスの感染による口内炎をヘルペス性(ウイルス性)口内炎といいます。ヘルペス性口内炎の症状は、口の中の粘膜や唇の周囲に水ぶくれのような潰瘍ができ、ひどい場合は発熱やリンパ節の腫れも出ることがあります。
3歳ごろまでに感染することが多く、完治してもウイルスは体内にずっと残ってしまうのです。疲労などで免疫力が低下した時に、ウイルスが再び活性化することで再発します。
ヘルペス性口内炎(口唇ヘルペス)とアフタ性口内炎の違い
ヘルペス性口内炎(口唇ヘルペス)とアフタ性口内炎の違いは、発症する主な原因と潰瘍の形です。
ヘルペス性口内炎の原因は免疫力低下によるウイルスへの感染が原因になりますが、アフタ性口内炎は生活習慣の乱れや、口の中をかんでしまうなど物理的な刺激が原因で発症します。
潰瘍の形の違いは、ヘルペス性口内炎では水ぶくれのような潰瘍ができますが、アフタ性口内炎は白い潰瘍ができます。
ヘルペス性口内炎の原因
ヘルペス性口内炎の主な原因は、唾液などによる接触感染や飛沫感染です。タオルや食器類を共有で使用したり、飲み物を回し飲みしたりするとうつる可能性があります。
お子さんへのキスなどの行為も感染の原因になりますので注意してください。
ヘルペス性口内炎の治療法
ヘルペス性口内炎の治療には抗ウイルス剤の内服薬や塗り薬を使用します。
ヘルペス性口内炎は他の口内炎と原因が違うため、他の口内炎に使う薬を使うと逆に悪化してしまう可能性がありますので注意してください。ヘルペス性口内炎を疑った場合は安易に市販薬で対応せず、必ず医師に相談しましょう。
カタル性口内炎
口の粘膜が赤く腫れたり、斑点や水ぶくれができたりする口内炎をカタル性口内炎といいます。丸く潰瘍ができるアフタ性口内炎とは違い、カタル性口内炎は正常な部分との境界がはっきりしない場合が多いです。
口の中が荒れた状態になってしまうため、味覚に異常を感じたり、ネバネバした唾液の影響で口臭がひどくなったりします。
カタル性口内炎の原因
カタル性口内炎の主な原因は外部からの物理的な刺激です。頬や唇をかんでしまったり、入れ歯や矯正器具が合っていなかったり、熱い食べ物を食べてやけどしてしまったりなどが考えられます。
できてしまった傷口の中で細菌が繁殖することで、カタル性口内炎が発症します。
カタル性口内炎の治療法
入れ歯や矯正器具が原因の場合は、早めにかかりつけの歯科医院へ受診して調整してもらいましょう。
口の中を清潔に保つために、殺菌作用のあるうがい薬やトローチを使ったり、抗生物質が入った塗り薬を使用したりします。
アレルギー性口内炎
アレルギー性口内炎とは、口の中でアレルギー反応を起こすことで発症する口内炎のことです。特定の食品、歯科材料、口腔ケア製品、または他のアレルギー物質に対する過敏反応として現れます。
症状は口の中のかゆみや腫れだけでなく、手や足にもアレルギー反応が出る場合があります。
アレルギー性口内炎の原因
アレルギー性口内炎の原因はアレルゲンとの接触です。特定の食べ物や薬物の摂取以外にも、銀歯や入れ歯などの金属部分に反応してしまうことで発症する場合があります。
歯磨き粉に含まれる界面活性剤などの成分が合わない方もいます。
アレルギー性口内炎の治療法
アレルギー性口内炎の治療で大切なことは、原因となるアレルゲンを取り除くことです。食べ物や薬物が原因の場合は、それらの原因物質を摂取しないようにしましょう。
銀歯や入れ歯の金属が合わない場合は、かかりつけの歯科医院に相談して、金属以外の素材に変えてもらってください。
ニコチン性口内炎
タバコに含まれるニコチンが原因で、口の中の粘膜や舌に白い斑点状に出来る口内炎がニコチン性口内炎です。通常強い痛みは感じませんが、刺激を感じる場合があります。
ニコチン性口内炎の原因
ニコチン性口内炎の最大の原因は喫煙習慣です。タバコの煙で口腔内が熱くなり、その刺激を受けて口腔内が乾燥してしまいます。
その結果唾液量が減り、細菌が増殖することで口内炎を発症します。またタバコの煙には多くの有害物質が含まれており、免疫機能が障害されるのも原因のひとつです。
ニコチン性口内炎の治療法
タバコの煙が原因なので、禁煙をするのが一番の治療法です。禁煙が難しい方なら、喫煙する本数を減らすだけでも予防効果が期待できます。
どうしても喫煙する場合は、喫煙後にうがいをしてタバコに含まれる有害物質を洗い流し、口腔内の乾燥を防ぎましょう。
口内炎の症状
いままでお伝えしたように、口内炎の症状は原因によってさまざまです。アフタ性口内炎のように白い潰瘍ができる口内炎もあれば、ウイルス性口内炎のように水ぶくれができる口内炎もあります。
口内炎の主な症状をまとめると以下の通りです。
- 患部の痛み
- 出血や腫れ
- 食べ物がしみる
- 口腔内の乾燥
痛みがひどい場合は食事や睡眠が十分にとれず、生活に支障が出てしまう場合もあります。
頬の内側や歯茎・舌など口の中の広い場所に炎症
口内炎は口の周囲から喉にかけてどこでも発症する可能性があります。以下のように、刺激を受けやすい場所はとくに口内炎ができやすいです。
- 頬の内側の粘膜
- 歯茎
- 唇の裏
- 舌の縁
喉が痛いと受診された方で、口腔内を確認したら喉の奥の方に口内炎ができていた方もいました。
痛みや腫れ・出血など場合によって症状が変わる
口内炎はその発生原因によって痛みや腫れ・出血などの症状が変わります。ただの口内炎ではなく、別の病気が隠れている可能性もあります。
どのような症状なのかは診察をするうえで大切な情報です。いつもと違う口内炎ができた場合はとくに注意してください。
一度にいくつもできることがある
口内炎はひとつだけでなく、一度にたくさんできることもあります。
栄養不足やストレスなどが原因で複数箇所にできる場合もありますが、全身性の病気が原因でいくつもの口内炎ができる場合もあります。口内炎を繰り返したり、複数できたりする方は注意してください。
口内炎に潜む全身性の病気
口内炎は、全身性の病気の症状として発症する場合があります。そのほかにも、口内炎に似ていますが、口内炎とは別の病気が隠れている可能性もあります。
以下のような症状がある場合は、口内炎以外の病気を疑ってください。
- 症状が口の中だけでなく唇や口周辺にも広がっている
- 何度も症状を繰り返す
- 2週間以上経っても改善しない
- 痛みが強く、会話や食事に支障がでる
- 同時に複数箇所に口内炎ができる
ベーチェット病
ベーチェット病とは、全身に影響する炎症性の自己免疫疾患です。主な症状として口内炎や性器の潰瘍、皮膚の発疹、関節痛などがあらわれます。
初期症状としてほぼ100%の方にアフタ性口内炎が発症し、病気の経過を通じて何度も発症を繰り返します。
繰り返し何度も起こるアフタ性口内炎に加えて、性器に潰瘍ができたり皮膚に発疹ができたりした場合は早めに医師へ相談しましょう。
舌癌(がん)
舌癌は口腔がんの半数以上を占めて、発生頻度の最も高いがんです。舌癌の初期はアフタ性口内炎と症状が似ているため、口内炎と勘違いしてしまう方がいます。
口内炎との違いとして、口内炎は痛みを感じますが、舌癌はよほど進行しないと痛みを感じません。舌癌は自然に治癒することはないですが、早期に対応すれば完治することも期待できます。
2週間以上口内炎のような症状が続いたり、しこりや厚みを感じたりする場合は早めに医療機関に相談しましょう。
白板症(はくばんしょう)
白板症は舌や歯肉、頬の粘膜に白い斑点や白い板状の変化が現れる病気です。粘膜が白くただれることがあり、カンジダ性口内炎に似ています。
カンジダ性口内炎と白板症の違いとしては、カンジダ性口内炎の白い斑点はこすればとれますが、白板症の斑点はこすってもとれない所です。
口の中のあらゆる部位にできる可能性がありますが、舌の縁にできた場合は舌癌になるリスクが高いです。自然に治ることはなく、早期発見・早期治療が大切になります。
口内炎を早く治すための方法
口内炎を早く治すためには、早期に適切に対応することが大切です。睡眠不足や食生活が乱れて栄養不足な方は、生活習慣を見直すだけでも症状が早く改善されることもあります。
口内炎によく効く市販薬も多数販売されていますので、軽い口内炎でしたら、まずは市販薬で対応してもよいでしょう。症状が長引いている方や、ご自身にあった薬を医師に選んで欲しい方は医療機関へご相談してください。
医療機関の受診
医療機関へ受診することで、塗り薬や貼り薬、スプレー剤や内服薬など複数ある薬から患者さんにあった薬を選ぶことができます。とくに、はじめてヘルペス性口内炎になった場合は、市販薬での対応は難しいです。
また、医療機関では薬品やレーザーで口内炎を焼く処置が可能です。口内炎を焼くことで痛みが軽くなり、治りが早くなる効果も期待できます。
市販されている薬を使う
口内炎治療に使われる薬は、市販薬としてドラックストアなどで購入することが可能です。薬は以下のように外用薬から内服薬まで複数ありますので、ご自身に合った商品を選びましょう。
塗り薬
抗炎症作用や、殺菌作用がある有効成分が入っています。広い範囲に炎症が起こっている場合には塗り薬が使いやすいです。
ステロイド成分を含む塗り薬は高い効果が期待できますが、ヘルペス性口内炎には使えません。
ヘルペス性口内炎用の塗り薬も市販されていますが、ヘルペス性口内炎を繰り返す方のための薬ですので注意してください。
ヘルペス性口内炎かそれ以外の口内炎かの区別がつかない場合は、自己判断での使用を控えましょう。
貼り薬・スプレー薬
貼り薬タイプは、薬剤が入ったシールを患部に直接貼って使用します。物理的な刺激から守ってくれるので、歯が当たったり食べ物が触れて痛かったりする方に使いやすいです。
スプレー薬は、有効成分を患部に直接吹きかけます。
塗り薬や貼り薬を使いにくい場所に口内炎ができた場合や、患部を直接触りたくない方におすすめです。
内服薬
内服薬には、トラネキサム酸などの抗炎症成分が含まれた薬や、不足している栄養成分を補う薬などがあります。塗り薬や貼り薬などを使うのが苦手な方におすすめです。
塗り薬や貼り薬などと併用して使うことも可能なので、より治療効果を高めるために併用するのも良いでしょう。
生活リズムを整え疲労を回復させる
口内炎は生活のリズムが乱れて、身体が疲れて弱っている時になりやすいです。口内炎を早く治すためには十分な休息をとり、生活リズムを整えて疲労を回復させましょう。
胃に負担をかけないために、消化に良い食事を意識することも大切です。
歯磨き・うがいをして口の中を清潔にする
口内炎を早く治すためには、口の中を清潔に保つことが大事です。食後に食べかすが口の中に残っていると細菌が繁殖してしまい口内炎の発症や悪化につながります。
こまめにうがいをおこない、食後は必ず歯磨きをしましょう。
栄養・ビタミンB群のある食事をする
口内炎は栄養不足、とくにビタミンB郡が不足していると発症しやすいです。ただし、ビタミンB群が口内炎の緩和に良いからといって、ビタミンB群に偏った食事もバランスが悪くよくありません。
ビタミンB群の多い食材を意識しながら、3食バランス良く食事をとってください。
ビタミンB群を多く含む食べ物
口内炎ができている時は、ビタミンB群を意識して摂取してください。以下の食材はビタミンB郡が豊富ですので、積極的に食生活にとりいれましょう。
- 豚肉
- マグロ、カツオ、ブリ
- 青魚
- 枝豆、ほうれん草
- 納豆や枝豆などの豆類
- アーモンド
- 牛乳などの乳製品
ビタミンの摂取方法
ビタミンB群の摂取方法に関して注意点があります。ビタミンB群は水溶性のビタミンのため、一度にたくさん摂取しても尿と一緒に排泄されてしまいます。
3食に分けてバランスよく摂取してください。食事だけで摂取が難しい方は、ビタミン剤やサプリメントを上手に活用しましょう。
ためしてガッテンで紹介されていた口内炎を早く治す秘策
口内炎を早く治すためには、原因が分かっているならその原因を取り除くことで予防することができます。原因ごとの口内炎の治療方法はNHKのためしてガッテンでも紹介されていました。
入れ歯が合わず物理的刺激による口内炎が起こっている場合や、金属が合わずアレルギーによる口内炎が起こっている場合は、きちんと調整してご自身にあった器具を使用してください。
入れ歯などは、一見キレイに見えても菌が繁殖していることがあります。日頃から入れ歯などを清潔に保つための手入れも大事です。
原因が特定できない口内炎の場合は対症療法をおこない、症状を緩和させましょう。ただし、カンジダ菌による口内炎の場合、ステロイドが使われている薬は逆効果になる危険性があるため注意してください。
口内炎が治らない場合は耳鼻咽喉科へ
口内炎は身近な病気のひとつです。自然に良くなることも多いですし、市販薬を活用したり、生活習慣を見直したりすることで早く治すこともできます。
しかし、口内炎は危険な病気の前触れの可能性もあります。2週間以上口内炎が治らなかったり、何度も口内炎を繰り返してしまったりする方はお近くの耳鼻咽喉科へご相談ください。
記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。