新型コロナ感染症にかかった後、回復したにもかかわらず、「疲れやすい」「体がだるい」「少し動いただけで息切れがする」「気分が落ち込む」などの症状が、数か月にわたって続くことがあります。他に原因が明らかでないこれらの症状を、コロナ後遺症と定義されています。
なかでも、5〜10%の確率でだらだらと続くのが微熱です。通常は1か月程度で回復することが多いコロナ後遺症の微熱ですが、場合によっては受診が必要になることもあります。事前に適切な情報を知っておくことで、いざという時に慌てなくてすみます。
この記事では、コロナ後遺症による微熱について詳しく解説していきます。
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コロナ罹患後に見られる微熱症状の特徴
コロナ感染症では、感染から数か月たっても微熱が続くことがあります。
ある内科クリニックでは、それまでも長期間の微熱で受診する方はいましたが、コロナ感染症が流行しだした2020年3月ごろから急激に、微熱で受診する方が増えたと言います。
以前の人たちよりも症状が多彩で、倦怠感が強く、完治するまでに3か月以上かかることもあるそうです。
コロナ罹患者の18%が微熱症状を発症している
コロナ後遺症としては、倦怠感や嗅覚・味覚障害、咳、うつ傾向、脱毛など様々な症状の相談が寄せられています。1人の方で複数の症状がでる場合もあります。
令和3年5月の東京都病院経営本部の相談状況によると、微熱を訴えられる方の割合は約18%となっており、約5人に1人にみられる症状と言えます。
コロナ後遺症の微熱症状はいつまで続く?
コロナ後遺症の多くは時間の経過とともに改善することが多いですが、改善までにかかる時間には個人差が大きいです。診断後6か月以降では、約80%の人が健康状態に戻ったと感じているという結果もあります。
しかし、約10%の方には6か月以上経過しても体の疲れやすさや息苦しさ、睡眠障害などが残っているようです。長く続くこともあることから、英語では「Long COVID」と呼ばれています。
コロナ後遺症による微熱の治療
コロナ後遺症についてはまだ分かっていないことも多く、原因も明らかになっていません。そのため治療法についても確立されたものはないのが現状です。ただ、症状の多くは時間とともに回復することが多いため、それぞれの症状に応じた治療(対症療法)がメインになってきます。
しかし、なかには他の重大な病気が隠れていることもあるので、かかりつけ医や専門医を適切に受診することも大切です。
微熱が続く場合は解熱薬
コロナ後遺症の微熱は、自然治癒することがほとんどです。栄養を摂り、ゆっくり休息することで体の自然治癒力を高めることができます。とはいえ、微熱が続き体のしんどさがある、日常生活に影響が出る、ということもあるでしょう。
かかりつけ医などで他に大きな病気がない場合、対症療法として解熱剤を使うことで、熱が下がり倦怠感など他の症状も楽になることもあります。
漢方薬が処方される場合も
原因がはっきりしないコロナ後遺症では、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は複数の生薬が配合されており、その人の体質や体力、抵抗力などに応じて対応することができます。
例えば、倦怠感、疲労感、気分の落ち込み、不眠などの症状がある方には加味帰脾湯。症状が長く続いて全身の冷えや心身が弱っている方には十全大補湯や人参養栄湯。などがあります。
コロナ罹患後の仕事・学校への復帰は慎重に
コロナ後遺症のなかで最も多いのが倦怠感、次いで気分の落ち込み、思考力の低下です。これらが数か月も続くので、療養期間が終わったからといって、いきなりフルタイムで仕事や学校に復帰するのは負担が大きいです。
症状が悪化して仕事や学校に行けなくなってしまうこともあります。
まだ本調子ではなく、罹患前よりパフォーマンスが落ちていることを理解し、場合によっては短時間や軽めの作業から始めることをおすすめします。
コロナ後遺症による微熱が続くときは病院を受診しよう
コロナ後遺症はほとんどの方が時間の経過とともに回復することが多いとはいえ、不明なことが多い状態です。なかには、重症化や重い病気が隠れていることもあります。微熱の際の受診の目安は、日常生活に支障がでる程度の症状で、4週間以上長引いている場合、となります。
早めに診察を受け、対処していきましょう。