補聴器の5種類を詳しく解説!タイプごとのメリット・デメリットや選び方もご紹介
補聴器を購入する際、自分に合っている種類が分からなくて困っていませんか。症状に合っていない補聴器を選んでしまうと、耳の聞こえが改善されないだけでなく、費用も余分にかかってしまう可能性があります。この記事では補聴器のタイプごとのメリットやデメリット、補聴器の選び方について分かりやすく解説します。
補聴器の種類は大きく5つに分類される
補聴器の種類は以下の5つに分類されます。
- 耳あな型補聴器
- 耳かけ型補聴器
- メガネ型補聴器
- ポケット型補聴器
- 骨伝導型補聴器
機能や良い点・悪い点、対応している症状はタイプによって様々です。それぞれの特徴を理解し、自分に合った補聴器を選びましょう。
耳あな型補聴器
耳あな型補聴器は、基本的に一人ひとりの耳の形や聴力に合わせて作るオーダーメイドの補聴器です。耳あなに収まるため、メガネやマスクをかけている際も邪魔になりません。コンパクトで目立ちにくいことから、補聴器の装着に対してためらいを感じている方のハードルを下げることが可能です。
しかし、小型であるがゆえに操作が難しかったり、紛失時に見つかりにくかったりする可能性もあります。自然に近い状態で音をとらえることが可能ですが、鼓膜までの間に空間ができるため、音がこもったように聞こえることもあるので注意が必要です。
その他にも、耳のあなが小さかったり曲がりが強かったりすると、音を大きくする部品の配置が困難になる場合もあります。そのため、耳あな補聴器は高度の難聴への対応が困難であり、軽度から中等度の難聴が適応になります。
耳かけ型補聴器
耳かけ型補聴器は本体を耳にかけて使用する補聴器です。本体を耳の後ろに置き、チューブや本体から伸びるスピーカーを耳に挿入することによって音声が聞こえる仕組みになっています。閉塞感が少ないため、補聴器を使用したときの違和感が苦手という方におすすめです。
その他にも操作が簡単で電池寿命が長いだけでなく、軽度から高度まで幅広く難聴に対応しているので年代に関係なく使用が可能です。
耳かけ型補聴器は本体が大きいことから、周りの方に気づかれる可能性が高くなります。しかし、おしゃれなデザインも多いためアクセサリー感覚で装着される方もいます。
メガネ型補聴器
メガネ型補聴器はメガネのフレームに補聴器の機能が組み込まれている補聴器です。見た目はメガネのため補聴器であることを周りの方に気づかれにくいだけでなく、レンズを視力に合わせることでメガネとして使用することも可能です。補聴器を目立たせたくない方や普段からメガネを使用している方に適しています。
一方で、補聴器の調整の他にもメガネのかけ心地やレンズの見え方の調整も必要になります。軽度から中等度の難聴に適していますが、聴力に応じた細かい調整は困難であることも注意が必要です。
ポケット型補聴器
ポケット型補聴器は本体とイヤホンがコードでつながっている補聴器です。本体はポケットに入れて使用することから「ポケット型」と呼ばれています。スイッチや音量の操作が手元で行えるため、こまかい操作が苦手な方でも簡単に操作することが可能です。音の増幅が可能なことから、重度の難聴にも適しています。
しかし、本体とイヤホンをコードでつないで使用するため、着替えや持ち運びの際に不便を感じることがあるので注意が必要です。音を拾う本体をポケットに入れることによって耳で聞く音と位置が異なり、違和感を覚えることもあります。
骨伝導型補聴器
骨伝導型補聴器とは、骨に振動を伝える「骨伝導」という仕組みを利用して音を伝える補聴器です。通常、音は外耳・中耳・内耳を通って脳に伝えられますが、骨伝導は内耳の働きのみで音を伝えます。そのため、外耳や中耳に異常がある伝音性難聴の方に適しています。
一方で、骨伝導型補聴器は高度の難聴に対応できるほどの出力がありません。加齢による難聴や感音性難聴への使用にも不向きです。
骨伝導型補聴器の詳しい内容については、以下の記事を参照してください。
>> 「骨伝導補聴器」は伝音性難聴の場合におすすめ!メリット・デメリットや種類についてもご紹介
補聴器のタイプ別メリット
補聴器のタイプによってメリットは異なります。箇条書きで簡潔に紹介していきます。
耳あな型補聴器のメリット。
- 目立ちにくい
- 音質が自然に近い
- 汗による故障が起こりにくい
耳かけ型補聴器のメリット。
- デザインのバリエーションが多い
- 雑音が生じにくい
- 適応範囲が広い
メガネ型補聴器のメリット。
- 耳を塞がない
- メガネと補聴器の併用が可能
- 取り扱いが簡単
ポケット型補聴器のメリット。
- 価格が安い
- 使い勝手がいい
- 高度な難聴でも使用が可能
- 操作ボタンが大きく扱いやすい
- 故障のリスクが小さい
骨伝導型補聴器のメリット。
- 耳に入れる補聴器の使用が困難な方に対応
- 周囲の音を聞き取りやすい
- 装着による不快感が少ない
補聴器のタイプ別デメリット
補聴器のタイプによってデメリットも異なります。デメリットについても箇条書きで簡潔に紹介していきます。
耳あな型補聴器のデメリット。
- 耳のなかに湿気が溜まって蒸れやすい
- 耳の形状によっては理想の大きさの補聴器作れない
- 耳だれがある場合、故障する可能性がある
- 部品が小さく、清掃やメンテナンスが難しい
耳かけ型補聴器のデメリット。
- マスクやメガネを装着する際に邪魔になる
- 汗の影響を受けやすい
- 補聴器を使用していることが周りに気づかれやすい
メガネ型補聴器のデメリット。
- 種類が少ない
- メガネを外すと聞こえない
- メガネのかけ具合の調整が難しい
ポケット型補聴器のデメリット。
- コードが邪魔になりやすい
- 目立ちやすい
- デバイスをポケットに入れる際、衣擦れの雑音が入りやすい
骨伝導型補聴器のデメリット。
- 感音性難聴に対応していない
- 長時間の装着により圧迫感を感じることがある
- 騒音がひどいと音が聞こえないことがある
補聴器は症状に合わせて選ぶのがおすすめ
補聴器を購入する際には、ご自身の症状に合った機能を備えているタイプを選ぶようにしましょう。
補聴器を選ぶ際にはデザインや着け心地、費用など様々な観点から検討する必要があります。しかし、補聴器は耳の聞こえを改善し、日常生活を快適にすることが重要です。デザインや着け心地のみで選んだ場合、余計な費用がかかったり日常生活における耳の聞こえが改善されなかったりする場合もあります。
補聴器は種類や性能によって対応できる難聴の幅は異なります。耳の聞こえを改善するためにも、必要な機能を備えた補聴器を選ぶようにしましょう。
補聴器のタイプごとの価格相場
補聴器の各タイプの相場は以下の通りです。ただし、機能や適応域、症状によって価格は前後することを理解しておきましょう。
耳あな型補聴器の相場は5万円〜70万円程度です。自動で音量や雑音の調整ができる機能があるほど価格は高くなります。すでに形状が既成されている場合は5万円以下と価格が低い補聴器もあります。
耳かけ型補聴器の相場は5万円〜50万円程度です。自動で環境に合わせて音質を調整できる機能があるほど価格は高くなります。デザインにこだわる場合も価格が上がりやすいです。
メガネ型補聴器の相場は片耳で18万円〜24万円程度です。シンプルな機能のみであれば10万円程度での購入も可能ですが、性能が高くなるにつれて価格は高くなります。
ポケット型補聴器の相場は3万円〜10万円程度であり、他の補聴器よりも安く購入することが可能です。
骨伝導型補聴器の相場は片耳で15〜20万円、両耳で30万円以上です。種類によっては一部の医療機関しか取り扱っていないため、その場合はさらに価格は高くなります。
「補聴器」と「集音器」は大きく違うため注意が必要
補聴器と集音器は機能面で大きく違いがあるので、選ぶ際は注意してください。
補聴器は使用者が聞き取りにくい音域だけを大きくして耳に届けるのに対し、集音器は拾ったすべての音を大きくして耳に届けます。補聴器は生活に必要な機能も多く搭載されており、難聴の方の日常における使用に適しています。一方で、集音器はすべての音を大きくしてしまうことから、特定の聞き取りにくい場面のみに使用する場合が多いです。
機能性以外にも、価格や販売方法などいくつかの点で大きな違いがあります。補聴器と集音器の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
>> 購入時に注意したい集音器と補聴器の違いとは?迷った場合の選び方もわかりやすく解説
補聴器には「デジタル式」と「アナログ式」の違いもある
補聴器は音の処置の仕方によって「デジタル式」と「アナログ式」の2種類に分類されます。
デジタル式は音の周波数によって音量の増幅の調整が可能です。音の加工がしやすく、騒音や雑音も入りにくいという特徴があります。一人ひとりの聴力に合った細かい設定も可能です。
一方、アナログ式は拾った音をすべて増幅してしまうため、雑音が入りやすくなります。会話が聞き取りにくいなど、日常生活でも支障をきたす場合もあります。
現在の主流はデジタル式で、技術が進化するにつれ、補聴器の使い勝手は改善傾向にあるといえるでしょう。
補聴器選びで困った際は耳鼻咽頭科へ相談しよう
補聴器には5種類のタイプがありますが、費用や見た目だけでなく、自分の症状に合った補聴器を選ぶことが大切です。症状に合ってない補聴器を選んだ場合、かえって聞こえが悪くなったり必要以上に費用がかかったりする可能性もあります。
補聴器選びに困っていたら、専門の耳鼻咽喉科へ相談しましょう。