耳あかがごっそり取れたとき、スッキリした気分になっていませんか。しかし、耳あかがごっそり取れるのは病気が隠れているサインかもしれません。この記事では、耳あかがごっそり取れたときに注意すべきことと、耳掃除によって引き起こされる病気について詳しく解説します。
耳あかがごっそり取れたら病気のサインかも
耳掃除をしたときに、いつもより耳あかがごっそり取れたときは、病気が隠れている可能性があります。ここでは、耳あかがごっそり取れたときに心配される代表的な病気を紹介します。
外耳道真菌症
外耳道真菌症は、外耳で炎症が起こりカビが繁殖する病気です。耳だれが大量に出たり、強いかゆみや痛みを伴ったりします。
原因は耳掃除などで外耳の皮膚が傷つき、傷口から真菌が入って増殖したことによるものです。自然治癒することはないので、耳鼻科での診断と治療が必要になります。塗り薬や点耳薬を使用し、定期的に通院して菌が増殖していないことを確認しながら治療します。
耳の中にかゆみや痛みがある場合は、早めに耳鼻科を受診しましょう。
外耳道真珠腫
外耳道真珠腫は、耳の奥に耳あかが溜まって炎症を起こし、皮膚の奥にある骨を溶かしていく病気です。耳だれや耳の痛み、難聴などの症状があります。骨の破壊が進行すると、開口障害や顔面神経麻痺になることもあるので注意が必要です。
軽度の場合は溜まっている耳あかを除去し、抗生剤やステロイドの軟膏を塗って様子を見ます。外耳の皮膚の自浄作用が低下しているので、数ヶ月ごとに耳鼻科での耳掃除が必要です。骨が壊死し、骨破壊が進行している場合は手術が必要になります。手術が必要になるまで進行しないようにするためにも、早期の受診が大切です。
そもそも耳掃除は必要ない
「耳掃除は定期的にするもの」という認識を持っている方も多いですが、耳掃除は本来必要ありません。耳あかには外耳道や鼓膜を保護する役割もあるので、無理に掻き出さなくて良いのです。耳掃除をして、外耳道を傷つける方が心配です。ここでは、耳掃除が必要ではない理由を詳しく説明します。
耳あかは自然排出される
体の皮膚と同じように、耳の中の皮膚も一定の周期で生まれ変わるターンオーバーの機能があります。耳の中の皮膚が剥がれ落ちたり、ほこりと一緒になってできたりする耳あかは、自然に耳の外側へ移動して排出されます。このように耳あかは自然に出てくるので、耳掃除をする必要はないのです。
耳掃除について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
>> 実は…耳掃除は不要!実施する場合の正しい方法や頻度・注意点・関連する病気について解説
耳掃除で病気になる可能性もある
良かれと思ってやっている耳掃除が、病気を引き起こす場合もあります。例えば耳垢栓塞、外耳炎、外耳道湿疹がその代表です。これらの病気は耳かきで外耳道に傷をつけたり、耳あかを奥に押し込んだりすることで起こります。かゆみや違和感で耳掃除をすると、症状が悪化して逆効果になることもあるのです。耳掃除をする場合は、目に見える手前の部分を優しくなでる程度にして、やりすぎないように注意しましょう。掃除の頻度も月1〜2回で十分です。
耳掃除のしすぎが原因でなりやすい外耳炎などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
>> 外耳炎とはどんな病気?主な症状や原因・外耳道湿疹についても解説
心配なときは耳鼻科へ
耳掃除や耳あかのことで何か不安があるときは、耳鼻科の医師に診てもらうのが一番です。耳の中は自分で見ることができないので、傷がついていたり、赤くなっていたりしてもわかりません。家族や友人に見てもらっても、専門家ではないし肉眼では細くて暗い耳の中はよく見えません。
実は耳掃除も立派な医療行為で、保険診療で行うことが可能です。自分では見えない耳の中は、耳の専門家である耳鼻科の医師に診てもらいましょう。
耳あか掃除も医療行為
痛みや違和感がなく、耳掃除だけでの受診はダメだと思っているかもしれません。しかし、耳掃除は立派な医療行為で、耳掃除だけでの受診も全く問題ありません。
耳掃除をしたときに、外耳炎や中耳炎など耳の病気が見つかることもあります。かゆみが強い場合にご自身で耳掃除をすると症状が悪化することもあるので、耳掃除だけでも遠慮なく耳鼻科を受診してください。
耳掃除は保険診療内
痛みや違和感がなくても、耳掃除は保険診療内で行えます。耳あかの除去は耳鼻科の医師にとって基本的な処置のひとつです。耳鼻科では拡大鏡で耳の中を観察し、専用の器具を使って外耳道を傷つけずに耳あかを取ります。
小さいお子さんへの耳掃除も耳鼻科で行うことが可能です。正しい耳掃除の方法がわからなかったり、自分で行うのが難しかったりする場合は、耳鼻科で耳掃除をしてもらいましょう。
耳あかがごっそり取れたら注意しよう
耳あかがごっそり取れたときは、痛みやかゆみの症状がなくても病気が隠れているサインかもしれません。早めに耳鼻科を受診して、耳の中に以上がないか診てもらうことが大切です。
心配なことや違和感があるときは、「ちょっとくらい大丈夫」と自分で判断しないようにしましょう。耳掃除は医療行為であり、保険診療で受けることが可能です。
耳に違和感がないときはもちろん、耳あかがごっそり取れたときは、早めに専門医である耳鼻科へご相談ください。