鼻水が止まらなくて困っていませんか?鼻水が止まらないのは、風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの病気が原因で鼻から分泌物が過剰に出てしまうからです。
この記事では、鼻水が止まらない原因と対処法に加えて、鼻および鼻水の役割についても詳しく解説します。
鼻水が止まらない原因は鼻腔から過剰に分泌物が出続けているから
鼻水が止まらない原因は、鼻の粘膜に炎症が起きることで大量に分泌物が出るからです。分泌物とは、身体の細胞が作る液体のことで、身体が正常に働くために必要なものです。鼻水も分泌物の1つで、鼻やのどに付いた病原菌やウイルスを殺したり、鼻の中をきれいにしたりする役割があります。
人の身体では、1日に約1リットルもの鼻水が作られます。普段は無意識のうちに鼻水を飲み込んでいるため、気になることはありません。しかし、感染症やアレルギーなどが原因で分泌物である鼻水が過剰に作られると、「鼻水が止まらない」状態になるのです。
鼻水が止まらない時に考えられる病気
鼻水が止まらないという同じ訴えでも、鼻水の種類によって、原因となる病気が変わります。鼻水が止まらない時は、ご自分の鼻水の状態(色や粘り気など)をよく観察しましょう。
ここでは3種類の鼻水について考えられる病気を解説します。
- 鼻水が水っぽく透明な場合
- 鼻水が黄色か緑色で粘り気がある場合
- 鼻水に血が混ざっている場合
ご自分の鼻水がどの状態に該当するのか考えながら読んでください。
鼻水が水っぽく透明な場合
鼻水が水っぽく透明な場合に考えられる主な病気は以下の3つです。
- 感染症などの風邪
- アレルギー性鼻炎
- 血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)
一つひとつ解説します。
感染症など風邪
感染症などの風邪のひき始めは、ウイルスが体内に侵入しないように鼻水が出ます。最初は水っぽいサラサラした透明な鼻水ですが、長引くと黄色や黄緑色でドロッとした鼻水に変わってきます。これは、身体がウイルスや細菌と戦っているサインです。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎でも、水っぽい透明な鼻水が出ます。アレルギー性鼻炎とは、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)に対する免疫反応*の1つです。花粉が原因の季節性アレルギーと、ハウスダストやダニ、動物の毛などが原因の通年性アレルギーに分かれます。鼻水以外にも、くしゃみや鼻詰まりといった症状があります。
*免疫反応:身体に入ったウイルスや細菌、異物などを外に排除しようとする働き
血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)
血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)は、アレルギー性鼻炎によく似た症状がありながら、アレルゲンが特定できない時に診断される病気です。急激な寒暖差(約7℃以上の気温差)や、ストレスなどによって自律神経の働きが乱れることで症状が引き起こされます。
水っぽく透明な鼻水の対処法
鼻水が止まらない場合はストレスや寒暖差を避けたり、アレルゲンとの接触を控えたりするなどの対策をしましょう。身体を休めるのも大切です。
色がついてドロッとした鼻水や、血がついた鼻水が続く場合は医療機関への受診が必要です。しかし、水っぽく透明な鼻水はセルフケアで解消する場合があります。鼻を温めたり、部屋を加湿したりなどの対策や、鼻詰まりに効くツボを押すことで症状が緩和する場合もあります。
鼻詰まりの解消方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
>>【鼻詰まりの6つの解消方法】鼻が詰まる原因と原因別の対処法も紹介!
鼻水が黄色か緑色で粘り気がある場合
鼻水が黄色か緑色で粘り気がある場合は、副鼻腔炎や鼻腔異物などの病気が考えられます。多くの場合は耳鼻科へ受診して適切な処置を受けることが大切です。それぞれの病気について詳しく解説します。
副鼻腔炎
副鼻腔とは両目の間や額、頬の下といった鼻周辺の空洞のことです。この副鼻腔に炎症が起こる病気を副鼻腔炎といいます。副鼻腔炎では、黄色や緑色でドロッとした粘り気がある鼻水や鼻詰まりが出るのが特徴です。鼻水以外には頭痛や嗅覚障害などの症状を感じる方もいます。
副鼻腔炎には急性と慢性があります。急性副鼻腔炎は症状が4週間以内のもので、1〜2週間で治る方が多いです。慢性副鼻腔炎だと、3ヶ月以上症状が続く場合もあります。
鼻腔異物
鼻腔異物とは、鼻の中に異物が入った状態のことです。異物が鼻に入った場合、鼻の粘膜が圧迫されて炎症が起きたり、出血したりします。炎症や出血の結果、悪臭を放つ茶色く濁った鼻水が出るようになります。
鼻腔異物は子どもや認知症の高齢者など、誤って鼻の中に異物を入れてしまう可能性のある方に注意が必要です。
鼻腔異物の原因となりやすい主なものは以下のとおりです。
- 豆
- どんぐり
- 小石
- ボタン型電池
特にボタン型電池は粘膜を傷つけやすいため、気付いたらすぐに受診しましょう。
鼻水に血が混ざっている場合
血が混じった鼻水が止まらない場合に考えられる病気には鼻副鼻腔腫瘍があります。具体的な症状などを解説していきます。
鼻副鼻腔腫瘍(腫れ物やしこり)
鼻副鼻腔腫瘍とは、鼻や副鼻腔にできる腫れ物やしこりです。腫瘍が悪性の場合は、鼻腔がん、もしくは副鼻腔がんと呼ばれます。鼻副鼻腔腫瘍は自然に回復することが少なく、徐々に進行していきます。
鼻副鼻腔腫瘍の主な症状は、以下のとおりです。
- 繰り返す鼻血
- 血が混じった鼻水
- 鼻詰まり
- 頭や顔面、歯の痛み
- 涙がでる
これらの症状が主に片側にだけ起こる場合や、口を開けにくい、顔や頬が腫れるといった症状が出ている場合は病気が進行している可能性があります。鼻水の色がいつもと違ったり、血が混じったりするのが続く場合は、速やかに耳鼻科を受診してください。
そもそも鼻の役割って?
鼻には「嗅細胞」があるため、においをかぐ感覚器としての役割があります。それとは別に、呼吸器としての役割もあります。
具体的には、空気中のほこりを吸着して除去する働きや、身体の中に入る空気の温度や湿度を調節する働きもあるのです。さらに、鼻水は鼻に吸着した病原菌やウイルスなどの異物を払い流す免疫系の働きも期待できます。
鼻は身体の「空気清浄機」
鼻は、空気と一緒に入ってくるホコリや花粉などを除去する働きがあります。さらに温度や湿度を調整する働きもあり、いわば身体の「空気清浄機」のような存在です。鼻が空気清浄機の役割を果たすことできれいな空気が身体に入るため、肺に負担がかからないようになっています。
鼻水は鼻の「洗浄液」
鼻水には、鼻やのどに付着した病原菌やウイルス、花粉といった異物を排出する作用があります。つまり、鼻水は「洗浄液」のような働きがあるのです。鼻水が出ることでウイルスなどが付着するのを防ぎ、感染症やアレルギーから身体を守ることができます。
鼻水は鼻腔内を「洗い流している」
鼻水は、鼻腔内の汚れを洗い流す大事な存在であり、さまざまな異物を排出する存在でもあります。身体の防御反応である鼻水が存在することで、異物が排除され、鼻腔内がきれいになるのです。
耳鼻科を受診するタイミング
鼻水は身体にとって大事な役割を果たしていますが、鼻水が止まらないのは病気のサインでもあります。以下のような状態が続く時は、耳鼻科を受診しましょう。
- 症状が3~5日以上続いている
- 日常生活に支障がある
- においが分かりにくい
- 副鼻腔炎を繰り返している
一つひとつ説明していきます。
症状が3~5日以上続いている
鼻水が止まらない症状が3〜5日以上続いている場合は、耳鼻科を受診しましょう。風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの可能性があります。放置すると悪化してしまう可能性があるため、早めに耳鼻科を受診して医師の診断や治療を受けてください。
日常生活に支障がある
鼻水が続いて仕事や勉強に集中できない場合や、鼻水が出続けることで睡眠がとれない場合など、日常生活に支障がある場合も早めに医師へ相談しましょう。鼻水の原因が分かれば薬や手術などで症状を緩和させることができるので、日常生活への影響も減らせます。
においが分かりにくい
鼻水が続くことで、においが分かりにくくなるケースもあります。慢性副鼻腔炎や風邪、アレルギー性鼻炎などが原因でにおい成分が嗅細胞まで届かなくなってしまうからです。風邪や新型コロナウイルス感染症により嗅細胞が傷つくのも、においが分かりにくくなる原因です。
においが分かりにくくなると、食べ物のにおいが分からずに食欲が低下したり、ガス漏れに気づかなかったりするなどのリスクがあります。嗅覚障害を放置すると回復も遅れるため、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎を繰り返している
副鼻腔炎を繰り返している場合も受診が必要です。ごくまれに重症化して、目や脳に影響を及ぼして重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
鼻水が止まらないほか、目の奥の痛みや頭痛が続く場合や、症状を繰り返す場合には、早めに耳鼻科での診察を受けましょう。
鼻水が止まらないときは耳鼻科で相談しよう
(簡単に記事をまとめ、気軽に耳鼻科を受診できるよう促すような内容を最後に執筆ください。)
この記事では、以下のことについて解説しました。
- 鼻水が止まらない原因
- 鼻水が止まらない時に考えられる病気
- 鼻の役割
鼻水は身体を守る役割を果たすとても大切なものです。しかし、鼻水が続くことで日常生活に支障をきたす場合や、色のついた鼻水が出る場合は適切な治療を受ける必要があります。
鼻水が止まらずに困っている方は、専門の耳鼻科の医師へご相談ください。