キーンとする耳鳴りの症状に困っていませんか?耳鳴りの原因はさまざまで、早めの治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。この記事ではキーンとする耳鳴りの原因や医療機関に受診する目安、自分でできる改善方法についてお話しします。
キーンとする耳鳴りの原因は隠れている病気かも
キーンとする耳鳴りは加齢やストレス、自律神経の不調、疲労のほか、メニエール病や突発性難聴などの病気が原因で起こることもあります。耳鳴りによって命が危険にさらされることはありませんが、放っておくと症状が長引く病気もあるため原因を見極めることが重要です。
耳鳴りの原因となる病気は、耳鳴りの特徴から判断できます。キーンとする耳鳴りの原因について、詳しく見てみましょう。
症状別の耳鳴りの原因についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。
>>耳鳴りの原因は病気である可能性も!耳鳴りの症状別に原因を紹介
片耳からキーンと耳鳴りがする場合
片耳からキーンと耳鳴りがする場合は、メニエール病や突発性難聴などの病気が隠れている可能性があります。これらの病気は片耳の内耳(*)で異常が起きて発症するケースが多いです。
メニエール病や突発性難聴が起こるはっきりとした原因は不明ですが、ストレスや日々の疲れなどによって生じる可能性があるとも言われています。
*内耳・・・耳の構造の最も奥に埋もれている部分で、音を感じ取る蝸牛と身体のバランスをコントロールする三半規管が存在する。内耳のなかはリンパ液で満たされ、音の振動が波で伝わるようになっている。
- メニエール病
メニエール病は目の前が回るようなめまいと共に、片耳の耳鳴り、難聴、耳のつまり感、吐き気などがみられる病気です。内耳のなかのリンパ液が過剰にたまり、蝸牛や三半規管が圧迫されることによって生じます。メニエール病の耳鳴りは通常片耳だけですが、約3割の方は両耳から耳鳴りが聞こえる場合もあります。
1回の症状は10分〜数時間ほど続き、繰り返しみられるのが特徴です。メニエール病の治療では、薬物療法で耳まわりの血行を良くしたり、体内の余分な水分を排出したりします。
- 突発性難聴
突発性難聴は片耳の耳鳴りや難聴、耳のつまり感、めまい、吐き気などの症状が前触れもなく突然生じる病気です。蝸牛のなかにある有毛細胞という組織が傷つき、感じ取った音を脳に上手く伝達できなくなることが原因で起こります。
メニエール病のように症状が繰り返されることはありませんが、放っておくと難聴や耳鳴りの症状が残る可能性があるため、早めの受診が必要です。
両耳からキーンと耳鳴りがする場合
老人性難聴や音響外傷によって、キーンとする耳鳴りが起こることがあります。これらの病気は加齢や環境が原因で内耳に異常が生じ、両耳に症状がでるのが特徴です。
- 老人性難聴
老人性難聴は難聴のなかで最も多い病気で、加齢によって両耳の有毛細胞が壊れることで起こります。耳鳴り全体の有病率は約10〜15%ですが、高齢になるほど耳鳴りを訴える患者さんは多くなります。
聴覚のおとろえは40代から始まるため、早めに生活習慣を見直して老化の進行を抑えることが重要です。
- 音響外傷
コンサートやヘッドホンなどで大きな音にさらされて、一時的に有毛細胞の障害が起こる状態を音響外傷といいます。症状は耳鳴りや難聴、耳がふさがった感じなどで、短時間で治ることが多いです。
音響外傷の症状が翌日以降も続く場合は、耳鼻科に受診しましょう。音響外傷の症状が何度も繰り返されるケースは、治りにくくなる可能性も高くなるため放置は危険です。
耳鳴りがすぐに治る場合
耳鳴りの症状がたまにでてすぐに治る場合は、ストレスや睡眠不足が原因で自律神経(*)が乱れている可能性があります。自律神経が乱れると内耳への血流がとどこおり、蝸牛や三半規管の活動が鈍くなってキーンという耳鳴りが起こる原因になります。
症状を繰り返さないためには、疲れをためすぎないように心がけたり、肩や首のまわりの筋肉をほぐして耳まわりの血流を良くしたりすることが大切です。
*自律神経・・・体の状態に合わせて血液の流れや心身の調子を常に整える役割をもつ神経のこと。
耳鳴りで病院に行く目安
キーンとする耳鳴りのほかに、以下の症状が急にみられる場合は突発性難聴が起きている可能性があるため、できるだけ早めに耳鼻科を受診しましょう。
- 片耳の難聴
- めまい
- 吐き気や嘔吐
- 耳のつまり感
突発性難聴は早めに治療を受けなければ、難聴や耳鳴りが今後もずっと残る可能性があります。1週間以内に適切な治療を受けると40%の人は完治することがわかっているため、気がついたらすぐに専門医に診てもらいましょう。
また、キーンとする耳鳴りが片耳で10分以上続く場合や、両耳で日をまたいで症状がみられる場合も耳鼻科に受診してください。メニエール病や音響外傷が起きている可能性があるため、適切な治療を受ける必要があります。
自分でできる耳鳴り3つの治し方
耳鳴りの症状を自分で治す方法は以下の3つです。
- 生活習慣の改善
- 耳の温め
- ツボ押しとストレッチ
耳鳴りは毎日の生活習慣を整えたり、耳まわりの血行を良くしたりすることで、症状を和らげられます。詳しい方法について見ていきましょう。
生活習慣を整える
キーンとする耳鳴りを自分で治したい場合は、生活上で以下の行動を意識しましょう。
- 規則正しい食事や睡眠をとる
- 禁煙を心がける
- 定期的に運動する
- リラックスした生活を送る
- 騒音の環境を避ける
生活習慣を整えることで耳の老化の進行が緩やかになったり、ストレスや疲れがたまりにくくなったりすると、耳鳴りが起こる可能性が減ります。食事は耳鳴りや難聴の改善に効果が期待されている亜鉛(レバーやカキなど)やビタミンB12(しじみ、海苔など)を取り入れつつバランス良く摂りましょう。
メニエール病の場合は1日2Lの水分補給や週に数回の有酸素運動をおこなって、尿や汗で水分を外に出すと効果的です。余分な水分が身体から排出されることで内耳への負担が減り、症状を和らげる可能性があります。
耳を温める
以下の手順で耳を温めて、耳まわりの血行を良くしましょう。
①水でぬらして固くしぼったタオルを500Wの電子レンジで約30秒温める
②温めたタオルを少し冷まして適温にした状態で耳全体にあてる
③耳でタオルの温かさを感じながらリラックスする
耳まわりの血行が良くなると、内耳のはたらきが活発になって耳鳴りが改善する可能性があります。血液は酸素や栄養を運ぶ役割があるため、蝸牛や三半規管へ十分にいき渡ることで、それまでみられていた不快な症状の改善が期待できます。
ツボ押しやストレッチをする
キーンとする耳鳴りの改善には、耳まわりのツボ押しやストレッチが効果的です。ツボ押しやストレッチをおこなうことで、耳まわりの血行が良くなり症状を和らげる可能性があります。
※ツボ押しやストレッチで耳鳴りが悪化した場合はすぐに中止し、耳鼻科を受診してください
- ツボ押し
耳鳴りや難聴、めまいなどに効果があると言われているツボを一度押してみましょう。ツボは指の腹や背を使って左右同時に押し、心地良く感じる力加減でおこないます。
以下に耳鳴りに効く代表的なツボの名称と場所をまとめたので、確認してみてください。
ツボの名称 | 場所 |
聴宮(ちょうきゅう) | 耳の穴から指1本ほど顔側にあり、口を開けたときに凹む場所 |
翳風(えいふう) | 耳たぶのすぐ後ろのくぼみ |
耳門(じもん) | 聴宮から指1本ほど上にあり、押すと痛みを感じやすい部分 |
完骨(かんこつ) | 耳たぶの後ろにある出っ張った骨のすぐ下のくぼみ |
風池(ふうち) | 首の後ろで頭蓋骨のすぐ下にあるくぼみ |
百会(ひゃくえ) | 頭のてっぺんにあるくぼみ(両耳の一番高い場所を結んだ線と鼻から後頭部の中央を結んだ線が交わる部分) |
太谿(たいけい) | 内くるぶしからアキレス腱の間にあるくぼみ |
- ストレッチ
ストレッチによって肩や首の筋肉の緊張が緩むと、耳まわりの血流の改善やストレスの緩和が期待できます。ストレッチは1回10〜30秒ほど時間をかけて、息を止めずにおこないましょう。
筋肉を伸ばすときは無理をせずに、心地の良い程度にとどめることが重要です。以下に例を挙げます。
部位 | 方法 |
耳のまわり | 症状がみられる耳の中に小指を引っ掛けて、左右どちらかに首をまわして耳を伸ばす |
肩 | 両肩を上げて止めた後に、息を吐きながら力を抜いて落とす |
首 | 肩や首の力を抜きながら首をまわす |
上半身 | 両手を組んで上に伸ばしながら胸を張る |
耳鳴りに効くツボ押しやストレッチについて、より詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。
>>耳鳴りの治し方を詳しく解説!自分でできるツボ押しから耳鳴りとの向き合い方まで!
キーンする耳鳴りがずっと続くときは特に耳鼻科に行こう
キーンとする耳鳴りが起こる原因は、突発性難聴やメニエール病などの病気、加齢、ストレスなどさまざまです。
日々の生活で耳鳴りを治すためには、食事や睡眠などの生活習慣を改める、ツボ押しやストレッチなどで耳まわりの血流を良くするなどの対策が必要になります。耳鳴りや難聴を放置すると、治療を開始しても元の状態に戻らない可能性があり早めの対策が重要です。
キーンとする耳鳴りが続いたり、突然の難聴やめまい、吐き気などが現れたりした場合は早めに耳鼻科に受診しましょう。