原因がわからないめまいの症状に悩んでいませんか?めまいの原因はさまざまで、耳や脳、自律神経系の病気が隠れている可能性もあります。この記事ではめまいの原因になる病気や対処法について詳しくお話しします。
めまいの原因は複数ある
めまいが起こる原因は耳や脳、自律神経系の病気だけでなく、ストレスや睡眠不足、加齢、更年期などがあります。これらが原因で内耳(*)にある前庭系の機能が低下することにより、めまいが発生します。
(*)内耳・・・耳の構造の最も奥にある部分。リンパ液で満たされ、身体のバランスをコントロールする前庭系と音を感じ取る蝸牛が存在する。前庭系には3次元の回転運動を感知する三半規管と、耳石によって横方向と縦方向の直線運動を感知する耳石器があり、身体が動いた方向を感知できる仕組みになっている。
病気が原因の場合
めまいは、以下のような耳や脳、自律神経系の病気が原因となり前庭系の機能が落ちて発症する場合があります。
耳の病気 | 良性発作性頭位めまい症メニエール病前庭神経炎 |
脳の病気 | 脳出血脳梗塞くも膜下出血脳腫瘍 |
自律神経系の病気 | 起立性調節障害血管迷走神経反射 |
それぞれの病気は、以下の見出しで詳しく説明しています。
脳の病気では前庭系から情報を受け取る脳幹や、前庭系のはたらきを調節する小脳が障害されたときにめまいが起こりやすいです。自律神経系の病気では、耳や脳の血流が不足することによって前庭系の機能低下につながります。
ストレスが原因の場合
ストレスは前庭系の機能と密接な関係があり、ストレス状態が続くとめまいが起こる原因になります。メニエール病もストレスが関与している病気のひとつで、誠実で真面目な性格の人に発症しやすいことがわかっています。
睡眠不足が原因の場合
睡眠不足によって自律神経の乱れが起こると、めまいが起こることがあります。自律神経は体の状態を常に感じとり、状態に応じて交感神経と副交感神経をはたらかせて血管の収縮や拡張をコントロールする神経です。
睡眠時間が足りないと交感神経が過剰にはたらいて血管が収縮します。血管が収縮すると脳や耳の血流が不足し、前庭系に十分な血液がいき渡らず、機能が落ちてめまいが生じます。
加齢や更年期が原因の場合
加齢や女性の更年期が原因で、前庭系の機能が落ちてめまいにつながることがあります。めまいが起きているにも関わらず、関連する病気やそれ以外の症状が見つからない場合は、加齢が原因となっている可能性が高いです。閉経前後の5年間は更年期の影響で女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく低下することにより、自律神経のバランスが崩れて前庭系の機能が落ちやすくなります。
めまいの原因として考えられる病気
めまいの原因となる耳や脳、自律神経系の病気は、めまい以外にも症状が伴います。特に脳出血や脳梗塞などの脳の病気では、頭痛や飲み込みの悪さ、ろれつが回らない、半身のしびれや脱力などの症状が伴うのが特徴です。放っておくと障害が残ったり、命に関わったりする可能性があるため、できるだけ早めに脳神経外科や救急外来へ受診してください。
低血圧症・起立性調整障害
低血圧症や起立性調節障害で一時的に脳の血流が低下すると、めまいや立ちくらみが起こる可能性が高いです。低血圧症は収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下の状態で、寝起きの状態から起き上がった直後や、食事が終わった後に症状が見られやすくなります。
起立性調節障害は思春期に起こりやすい自律神経の機能不全で、脳や上半身への血流が低下して立ちくらみや倦怠感、頭痛、動悸などが起こります。
血管迷走神経反射
血管迷走神経反射とは、長時間の立位や座位、疲れ、ストレスなどをきっかけに血圧の低下や心拍数の減少が反射的に起こる症状です。電車での立ちっぱなしや入浴時、排便時などで迷走神経(副交感神経のひとつ)が突然刺激され、脳が貧血状態になりめまいや冷や汗、失神につながります。
良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症は、長時間の同じ姿勢などがきっかけで耳石器の耳石が三半規管に剥がれ落ち、三半規管のなかで耳石が刺激となってめまいが起こる病気です。寝返りを打つ、洗濯物を干す、靴を履こうとして前かがみになるなど、特定の頭の位置によってめまいや吐き気が誘発されるのが特徴です。蝸牛は刺激されないため、難聴や耳鳴りなど聴覚の症状は伴いません。
脳出血
脳出血は高血圧や喫煙、過剰なアルコール摂取などが原因で、脳の血管が破れて出血する病気です。脳内に出血した血液は時間が経つにつれて血腫となり、脳浮腫(脳のむくみ)も生じて脳の機能を圧迫させます。脳出血は活動時の発症が多く、脳幹や小脳で出血するとめまいが起こる可能性が高いです。
脳梗塞
脳梗塞は動脈硬化などで血栓(血の塊)が脳の血管に詰まる病気で、脳幹や小脳の血管に起こるとめまいが生じる原因になります。脳の奥の細い血管が詰まるラクナ梗塞と血管にコレステロールが溜まって血栓ができるアテローム血栓性脳梗塞、心臓で作られた血栓が脳に詰まる心原性脳塞栓症にわかれます。
くも膜下出血
脳動脈瘤の破裂などにより、突然くも膜(脳をおおう膜)の血管が破れて出血する病気をくも膜下出血といいます。くも膜下出血は猛烈な頭痛がでることが特徴で、早急に治療しなければ生死に関わるほか、重度の後遺症が残る可能性が高いです。
脳腫瘍
脳腫瘍は脳から発生する原発性のものと、ほかのがんが脳に転移する転移性のものにわかれます。腫瘍が大きくなると脳浮腫も生じるため、双方が脳の機能に影響を及ぼします。
メニエール病
メニエール病は内耳のなかのリンパ液が過剰にたまり、前庭系や蝸牛が圧迫されてめまいや難聴、耳鳴りなどの症状が出現する病気です。10分〜数時間続く回転性のめまいが、日常生活で繰り返し生じます。
前庭神経炎
前庭神経炎は、突然激しい回転性のめまいが起こる病気です。このめまいは、通常数日続きますが、その後も立ちくらみやふらつきといった症状が続くことがあります。
この病気の特徴として、めまいの他に吐き気や嘔吐を伴うことが多い一方で、耳の聞こえに問題はありません。多くの場合、風邪をひいたり、ウイルスに感染したりした後にかかることがわかっています。
めまいがつらいときの対処法
めまいがつらいときは水分補給をおこない、音楽鑑賞や部屋の明るさなどを抑えて安静に過ごしましょう。症状が続いて少しでも不快に思うときは医療機関へ受診してください。
水分をしっかり取る
水分を補給して頭や耳まわりの血流が良くなると、前庭系の機能が活発になってめまいが改善する可能性があります。メニエール病では水分補給や有酸素運動によって尿や汗の排出が促されると、リンパ液による内耳の圧迫が減って症状が和らぐこともわかっています。
五感の刺激を避ける
めまいの改善には、五感の刺激が少ない静かな暗い部屋で安静に過ごすと良いです。めまいは蝸牛を含む内耳への刺激以外にも、目から入る情報で脳が刺激されると悪化しやすくなります。症状が落ち着くまで耳に入る大きな音や目に入る眩しい光をできるだけ避けるようにしましょう。
病院へ行く
めまいが頻繁に起こったり、ほかの症状と併発したりするときは早めに耳鼻科や脳神経外科を受診しましょう。めまいには重大な病気が隠れている可能性があり、症状の悪化を回避するためにも早めに適切な治療を受けることが大切です。
当院ではめまい外来を取り入れており、めまいの根本的な原因を調べたうえで病態に合った治療を提案いたします。めまいや難聴などの症状でお悩みの方は、当院にお越しください。
>>よし耳鼻咽喉科
めまいで悩むときは病院で相談しよう!
めまいは良性発作性頭位めまい症やメニエール病、脳出血、脳梗塞などの病気のほか、ストレスや睡眠不足による疲れ、加齢、更年期などでも起こります。めまいの原因となる病気はほかの症状も伴うため、見逃さないようにしましょう。
症状がつらいときは水分を摂りながら、静かな暗い部屋で安静に過ごすと効果的です。めまいの症状を放置すると、さまざまな病気の症状を悪化させる可能性があり早めの対策が重要です。
症状が続く場合やほかの症状が伴う場合は、めまいや耳の専門医である耳鼻咽喉科へご相談ください。