鼻詰まりに伴う頭痛に悩んでいませんか?鼻詰まりが原因で起こる頭痛は、適切な治療やセルフケアをすることで改善が期待できます。この記事では、鼻詰まりで頭痛が起こる原因や治し方、セルフケアについて詳しく解説します。
鼻詰まりで頭痛がする原因とは?
鼻詰まりが続くと、頭の痛みの感覚に関係する神経が圧迫されたり、頭の血流が不足したりすることで頭痛が起こります。ここでは、鼻詰まりによる頭痛が起こりやすい副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎の2つの病気について詳しく解説します。
副鼻腔炎
副鼻腔炎は4つの骨の空間(上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞)から構成される副鼻腔の粘膜に炎症が起き、鼻詰まりや発熱などが起こる病気です。
4つの空間は、頭や顔で感じた痛みや触覚を脳に伝達する三叉神経の近くに存在しています。炎症によって副鼻腔の粘膜が腫れたり膿がたまったりすると、神経が圧迫されて頭や顔の周りに痛みが起こりやすくなります。強い痛みを感じることもあり、特にこめかみの周りや鼻の奥、おでこの辺りに生じやすいです。
副鼻腔炎は症状が長引きやすく、薬物療法やネブライザー治療で改善しない場合は手術が必要になる可能性があります。鼻詰まりや頭痛のほかにも、粘り気のある鼻水や匂いがしない状態が長引く場合は、早めに耳鼻咽喉科の医師へ相談しましょう。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが鼻の粘膜に付いて引き起こされるアレルギー反応です。体が異物と認めた特定の物質(アレルゲン)が体内に入ってくると、異物を外に出すために透明の鼻水やくしゃみ、鼻詰まりが起こります。
アレルギー性鼻炎も、副鼻腔炎と同様に頭痛を生じることがあります。鼻詰まりが長引くことにより鼻呼吸がしづらくなり、頭に血流がいき渡りにくくなって頭痛につながるケースが多いです。日常生活でアレルギー性鼻炎の原因物質を完全に排除するのは難しいため、症状を抑えるためには薬物療法などの適切な治療が必要です。
頭痛を引き起こす鼻詰まりの治療法を解説
鼻詰まりによって頭痛の症状が続く場合は、内服薬や点鼻薬、ネブライザーで治療します。これらの治療で効果が見られない場合は、手術療法を選択するケースもあります。
内服薬・点鼻薬
副鼻腔炎が長引いている場合は、マクロライド系の抗菌薬を通常の半分の量で数ヶ月内服します。アレルギー性鼻炎では、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬などのアレルギー反応を抑える内服薬を使用します。
どちらの場合も、炎症やアレルギー反応を強力に抑えるステロイドの点鼻薬を併用するケースが多いです。特に治療が難しい好酸球性副鼻腔炎(*)は、ステロイドの投与が症状の改善に有効であると言われています。
(*)好酸球副鼻腔炎・・・両側の鼻の粘膜に好酸球(免疫のためにはたらく白血球の一種)がたまることにより複数の病変ができる副鼻腔炎のこと
ネブライザー治療
ネブライザー治療は薬剤を鼻から霧状にして吸入し、腫れなどの炎症を和らげる治療法です。薬剤が霧状にいき渡ることで、効率よく病変部位に作用できるため、点鼻薬よりも高い効果が得られます。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎では、ネブライザーを使用して鼻腔内にステロイドや抗菌薬を投与します。
手術
副鼻腔炎の手術では、主に内視鏡(*)を用いた手術が行われます。内視鏡で鼻の中の状態を確認しながら、各空洞の隔たりにある病的な組織を取り除いて空洞を広くし、鼻水や膿がたまるのを抑えます。
アレルギー性鼻炎では、炎症を抑えるために鼻の粘膜をレーザーで焼く手術が一般的です。しかし再発事例の報告もあるので、症状によって下鼻甲介(鼻の奥にある粘膜)の一部を切除して鼻の通り道を広くする手術や、鼻水を分泌させる神経の作用をさえぎる手術が選択されます。
(*)内視鏡・・・先端にカメラを内蔵した細長い管を鼻に挿入し、細かい状態を観察する医療機器のこと
今日からできる鼻詰まりのセルフケア5選
鼻詰まりや頭痛を改善させるために、自宅で簡単にできるセルフケアもあります。今から紹介する5つの方法は一時的に鼻詰まりの症状を抑える効果があり、続けることで鼻詰まりや頭痛の改善につながる可能性があります。
ツボ押しをする
鼻詰まりに効果のあるツボを押してみましょう。鼻、おでこ、手、首の近くにある代表的な6つのツボをご紹介します。
ツボ | 場所 | 効果 |
迎香(げいこう) | 左右の鼻のほうれい線付近 | 鼻の通りを良くする |
印堂(いんどう) | 両眉の間の凹み | 鼻根筋(鼻をかむときに使われる筋肉)の緊張を緩める |
合谷(ごうこく) | 手の甲の親指と人差し指の間の付け根 | 鼻詰まりや眼の充血を改善させる |
睛明(せいめい) | 左右の鼻の付け根付近 | 鼻詰まりや眼の疲労を改善させる |
上星(じょうせい) | 額の生え際から親指1本分(2〜3cm)上の部分 | 鼻の通りや頭の血のめぐりを良くする |
大椎(だいつい) | 下を見たときに首と背中の付け根で突出する骨の下 | 水っぽい鼻水を抑える |
ツボ押しはいつでも手軽に行えるのが利点です。リラックスした状態で、親指や人指し指を利用し、痛気持ちいい程度の力で押しましょう。
鼻うがいをする
鼻うがいで粘り気のある鼻水を洗い流すことで、鼻詰まりを一時的に緩和させる効果が期待できます。鼻うがいは市販で購入されている物を使用すると便利ですが、自分で準備することも可能です。作り方は、沸騰させた500mlのお湯を37〜40℃まで冷まし、そこに塩5g(小さじ1杯)を溶かしたら完成です。
中耳炎を発症している方や普段からよくむせる方は、状態が悪化する可能性があるため自己判断での鼻うがいは控えてください。
鼻を温める
鼻を温めることで鼻の粘膜の血流が良くなり、鼻詰まりが改善します。血のめぐりが良くなると鼻の粘膜の腫れがなくなり、鼻の通り道が広くなるためです。
温かい蒸しタオルを使用したり、お風呂に入ったりして温めましょう。加湿器などを使用して乾燥を防ぐと、鼻水が柔らかくなって詰まりにくくなるのでより効果的です。
市販薬を服用する
ドラッグストアなどでは、鼻詰まりの症状を抑えるための市販薬が販売されています。市販薬で扱われている主な薬は以下の通りです。
- 抗ヒスタミン薬:アレルギー症状の原因となるヒスタミンの作用を抑え、くしゃみや鼻詰まりを改善させる
- 抵コリン薬(副交感神経遮断薬):副交感神経の働きを抑制して鼻粘膜の血管の拡張を抑え、鼻水の分泌を減らす
- 交感神経刺激薬:血管を収縮させて血のめぐりを良くすることで、鼻粘膜の腫れを抑えて鼻詰まりを減らす
血管を収縮させる点鼻薬は即効性もありよく効きますが、繰り返し使用するとかえって症状が悪化する恐れがあるので注意してください。
市販薬を選ぶときにわからないことがあれば、店頭にいる薬剤師に相談しましょう。持病で他の薬を服用している方や妊娠・授乳中の方は、事前に医師・薬剤師の指示に沿って選ぶようにしてください。
市販薬をしばらく使用しても症状が改善しない場合は、他の重大な病気が隠れている可能性もありますので、必ず耳鼻咽喉科などの専門医へご相談ください。
わきの下を刺激する
鼻詰まりの改善には、わきの下にペットボトルを挟んで刺激する方法もおすすめです。わきの下に走っている交感神経が刺激を受けると、神経反射が起こって反対側の鼻の血流が良くなり鼻詰まりが改善します。
やり方は、左右どちらかのわきの下にペットボトルを10〜20秒ほど挟むだけです。交感神経が適度に刺激され、鼻の血流が改善されるとともに、鼻詰まりが少しの間和らぐ効果が期待できます。両方のわきの下にペットボトルを同時に挟んでも両方の鼻詰まりが一度に改善するわけではないため、片方ずつ行いましょう。
鼻詰まりのセルフケアは以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はこちらの記事もご覧ください。
>>自宅ですぐにできる鼻詰まりの対処法を徹底解説|鼻詰まりの原因や治療法も紹介
鼻詰まりによる頭痛がつらいときは耳鼻科に行こう
鼻詰まりによる頭痛は、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などが原因で三叉神経が圧迫されたり、脳の血流が不足したりすることで起こります。ツボ押しや鼻うがい、市販薬の服用などのセルフケアで症状が和らぐこともあります。
しかし、鼻詰まりや頭痛の症状がひどいときや長引く場合は、別の病気が隠れている可能性もありますので、早めに耳鼻咽喉科を受診して適切な治療を受けましょう。当院では鼻詰まりによる頭痛の治療も的確に提案いたします。お悩みの方は、当院にお越しください。
>>よし耳鼻咽喉科