【医師監修】耳鳴りの種類ごとの原因を解説!自分でできる対策も紹介

耳鳴りの症状に悩んでいませんか?耳鳴りが起こる原因は耳や脳の病気などさまざまですが、自宅でできる対策で症状が緩和することもあります。この記事では、耳鳴りの種類ごとの原因や対策方法について詳しく解説します。

目次

耳鳴りの種類ごとの原因とは?

耳鳴りは本人しか聞こえない自覚的耳鳴りと外部からも聞こえる他覚的耳鳴りにわかれ、発生する原因や音の特徴は異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

自覚的耳鳴り

自覚的耳鳴りは本人だけが聞こえる耳鳴りで、耳鳴りの大半を占めます。自覚的耳鳴りが発生する原因は不明ですが、耳から入った音を脳に伝える経路のなかで異常が起きることで生じると考えられています。

自覚的耳鳴りは内耳(*)の機能低下や加齢、薬剤などによって起こる難聴の症状に伴って見られることが多いです。「キーン」といった高音の耳鳴りや、「ボー」「ブーン」などの低音の耳鳴りがあると自覚的耳鳴りが疑われます。

(*)内耳・・・耳の奥の骨に埋もれている器官で、外から入ってきた音を感じ取る「蝸牛」と、身体のバランスを調整する「三半規管」で構成されている。内耳のなかは蝸牛や三半規管で得た情報を脳に伝える役割をもつ「リンパ液」で満たされている。

他覚的耳鳴り

他覚的耳鳴りは他者でも音が聞こえる耳鳴りのことです。血管の異常が起きて血流の音が聞こえたり、筋肉がけいれんすることによって音が生じたりするなど、耳鳴りが起こる原因がはっきりしています。

血管の異常による耳鳴りは、動脈硬化などによって血流が雑音に感じることで生じやすいです。「ザー」といった雑音や「ドクドク」といった拍動性の音が聞こえます。

筋肉のけいれんで起こる耳鳴りは口の中の天井部分にある口蓋筋や、耳の構造内にある鼓膜張筋、アブミ骨筋がけいれんすることで生じます。「カチカチ」といった機械的な音が聞こえるのが特徴です。

耳鳴りの症状別の原因を解説

耳鳴りで聞こえる音は「キーン」「ブーン」「ドクドク」など、原因によって特徴が異なります。耳鳴りが起こる原因は睡眠不足やストレスのほか、耳や脳に関連する病気が隠れている可能性もあります。 

キーンとした耳鳴り

キーンとした高音の耳鳴りは、主に自覚的耳鳴りとして起こり、内耳や耳の神経の異常による病気などで生じやすいです。片耳で耳鳴りが聞こえる場合と、両耳で耳鳴りが聞こえる場合では原因が異なります。

  • 片耳の耳鳴り

片耳でキーンとした耳鳴りが起こる原因は、メニエール病や突発性難聴、聴神経腫瘍などが考えられます。メニエール病は内耳のリンパ液が過剰に溜まり、蝸牛や三半規管が圧迫され、片耳の耳鳴りや回転性のめまいなどが生じる病気です。両耳に症状が出現するケースもあります。

突発性難聴は、蝸牛のなかの有毛細胞(音の振動を脳に伝える部位)が障害されて起こる難聴で、前触れもなく急に片耳の難聴や耳鳴りが起こります。聴神経腫瘍は聴覚やバランス感覚をつかさどる耳の神経にできる良性の腫瘍で、大きくなるにつれて難聴や耳鳴りが進行するケースが多いです。

  • 両耳の耳鳴り

両耳でキーンとした耳鳴りが起こる場合は、音響外傷や老人性難聴、薬剤性難聴が疑われます。音響外傷はライブなどで大きな音にさらされたときに、内耳が障害を受けることで一時的に両耳の難聴と耳鳴りが生じる病気です。

加齢によって進行する老人性難聴は、両耳の有毛細胞の数が減ることで生じ、年を重ねるほど耳鳴りを訴える人が増えます。薬剤性難聴は、一部の抗菌薬や抗がん剤を使用したときに副作用として起こり、両耳の耳鳴りが伴うことがあります。

ブーンとした耳鳴り

ブーンとした重低音の耳鳴りは、低音の聞こえが悪くなる低音障害型感音難聴や、中耳の周りに障害が起こる中耳炎、耳管狭窄症などによる自覚的耳鳴りが考えられます。また、メニエール病でも発生する可能性があります。

低音障害型感音難聴は、内耳のリンパ液や血液の流れが悪くなることで生じ、30代の女性に多くみられる病気です。突然低い音だけが聞こえなくなるのが特徴で、低音の耳鳴りも生じます。

中耳炎は鼓膜の内側にある中耳に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす病気で、耳鳴り以外にも耳のなかに膿が溜まったり、痛みがでたりするのが特徴です。耳管狭窄症は、中耳と鼻の奥をつなぐ耳管が腫れて耳のなかの空気圧が調節できなくなる病気で、耳がふさがった感じや自分の声が響いて聞こえるなどの症状も現れます。

ドクドクとする耳鳴り

ドクドクする拍動性の耳鳴りが起きている場合は、脳や血管に異常が起きている可能性があります。脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などの前兆として動脈や静脈に異常が起き、血流がいつもと異なる状態になって音が聞こえるケースが多いです。

ドクドクする耳鳴りは、約70%が他覚的耳鳴りとして発症するため、周りからもわかりやすい特徴があります。放って置くと命の危険にさらされるリスクが高くなるため、早めに医療機関に受診しましょう。

自分でできる耳鳴りの対策5選

ここでは、自宅などでできる耳鳴りの5つの対策をご紹介します。以下の方法は耳鳴りの症状を和らげる効果が期待できるため、気がついたときにおこなってみましょう。

休息をとる

耳鳴りが続いているときは、疲れやストレスを溜めないように休息をとりましょう。疲れやストレスで体の緊張状態が続くと自律神経が乱れ、交感神経の働きによって血管が過度に収縮します。血管の収縮が続くと、耳周りの血流が悪くなって内耳の機能が落ち、耳鳴りの悪化につながります。

疲れをためないようにするには、十分な睡眠をとって規則正しい生活をすることが大切です。ストレスを解消させるために、趣味やスポーツなどの発散方法もみつけましょう。

血流を良くする

全身の血のめぐりが良くなって、内耳へ血液がいき渡ると耳鳴りの症状が改善する可能性があります。血液が運ぶ酸素や栄養素によって、内耳のなかの蝸牛や三半規管が活発になるからです。

日常生活で血流を良くするためには、入浴や軽い運動によって体を温めると効果的です。首や肩のコリも耳周りの血流が悪くなる原因になるため、ストレッチやマッサージでコリをほぐしましょう。

ツボを押す

耳鳴りの対策には、日常生活で簡単にできるツボ押しも効果的です。以下のツボは耳鳴りの改善に効果があると言われているため、人差し指や親指で「気持ちいい」と感じる程度に押してみましょう。

ツボの名称場所
聴宮(ちょうきゅう)耳の穴の前方にある突起のすぐ前方
翳風(えいふう)耳たぶの後ろにある突出した骨と耳たぶの間のくぼみ
耳門(じもん)聴宮のすぐ上にある脈打つ部分
寛骨(かんこつ)耳たぶの後ろにある突出した骨のすぐ下
瘈脈(けいみゃく)耳の後ろの付け根にあるくぼみ
角孫(かくそん)折り曲げた耳の上端が当たる頭の部分
頭竅陰(あたまきょういん)耳の後ろの出っ張った骨の上側
百会(ひゃくえ)頭のてっぺんにあるくぼみ
風池(ふうち)首の後ろで頭蓋骨の付け根にあるくぼみ
天柱(てんちゅう)首の後ろにある2本の太い筋肉の外側
中渚(ちゅうしょ)手の甲の小指と薬指の間
湧泉(ゆうせん)足の指を曲げたときに足の裏の凹む部分
太谿(たいけい)内くるぶしとアキレス腱の間

小さい音で環境音やラジオを流す

小さい音で環境音やラジオなどを流し、耳鳴りに意識が向くのを避ける治療法を音響療法といいます。音響療法は、耳鳴りへの注意をそらすことで耳鳴りへの不快感がなくなるほか、ストレスや緊張を和らげてリラックスさせる効果もあります。

音響療法をおこなうときは小鳥のさえずりや川のせせらぎの音など、不快に感じない音を選びましょう。耳鳴りが重度の場合には、医師の指示のもと特殊な補聴器を用いて治療することもあります。

音響療法の特徴や方法については以下の記事にて解説していますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

>>耳鳴りは補聴器で緩和する可能性も!音響療法の特徴や家庭での実践方法もわかりやすく解説

飲酒や喫煙を控える

過度な飲酒や喫煙は耳鳴りの悪化につながるため控えましょう。喫煙は血管を硬くして内耳の血流を悪くし、耳鳴りやめまいを悪化させます。お酒も蝸牛や三半規管の機能を悪くし、耳鳴りやふらつきにつながる可能性があるため、飲み過ぎには注意してください。

耳鳴りが続くときは病院で適切な治療を受けよう

耳鳴りは自覚的耳鳴りと他覚的耳鳴りにわかれ、それぞれ原因や特徴が異なります。耳鳴りは睡眠不足やストレスのほかに、内耳の障害による難聴や、脳の病気の前兆による血管の異常などで起こります。症状が辛いときは、十分な休息やツボ押し、音響療法などを日常生活で取り入れてみましょう。

しかし、耳鳴りの症状になかには重篤な病気が隠れている可能性もあります。症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科に受診しましょう。

当院で耳鳴りの原因を調べたうえで病態に合った治療を提案いたします。耳鳴りの症状でお悩みの方は、当院にお越しください。

>>よし耳鼻咽喉科

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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