耳鳴りとめまいが同時に起こる原因とは?考えられる病気や対処法を医師が解説

耳鳴りやめまいに悩んでいませんか?耳鳴りとめまいが同時に発生する場合は、メニエール病や突発性難聴などの病気が隠れているかもしれません。この記事では、耳鳴りとめまいが同時に起こる理由や考えられる病気、対処法を詳しく解説します。耳鳴りやめまいで悩んでいる方は、最後までご覧ください。

目次

耳鳴りとめまいが同時に起こるのはなぜ?

耳鳴りとめまいが同時に起こるのは、めまいの原因になる「三半規管」と耳鳴りの原因になる「蝸牛(かぎゅう)」が隣り合っており互いに影響を及ぼすためです。

三半規管は身体の姿勢や回転を感知するセンサーの役割を担っており、三半規管の異常はめまいの原因に繋がります。蝸牛は音の振動を脳に伝えているらせん状の器官で、蝸牛が傷つくと音を感じにくくなったり、耳鳴りを発症したりします。

三半規管も蝸牛も耳の中にあるため、耳鳴りとめまいが同時に起こるときは耳の病気が隠れている場合もあるのです。

耳鳴りとめまいを引き起こす病気

耳鳴りやめまいの背景には、メニエール病や突発性難聴などの病気が隠れている場合があります。耳鳴りやめまいによって命が危険にさらされる心配はありませんが、治療が遅れると完治が難しくなる病気もあるため注意が必要です。

耳鳴りとめまいの原因になる代表的な病気を5つ紹介します。耳鳴りやめまい以外の具体的な症状も解説するので、当てはまる方は早めに医師へご相談ください。

メニエール病

メニエール病とは、聴覚障害を伴うめまいを繰り返す病気です。睡眠不足や疲れ、ストレスなどで内耳のリンパ液が増えすぎてしまうことが原因です。

以下の症状がある場合はメニエール病が疑われます。

  • 重度の回転性めまい
  • 吐き気や嘔吐
  • 耳の圧迫感
  • 片耳の耳鳴り
  • 片耳の難聴

メニエール病の場合、日常生活に影響を及ぼすほどの強い回転性めまいが通常1~6時間ほど続きます。放置すると徐々に難聴が進行する場合もあるため、上記の症状がある場合は早急に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

突発性難聴

突発性難聴は、左右の耳の一方(ごくまれに両方)の聞こえが突然悪くなる病気です。音の振動を脳に伝える「有毛細胞」が何らかの原因で傷つき、壊れることで起こります。40〜60代の働き盛りの方に多く見られ、ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病があると起こりやすいことがわかっています。

突発性難聴の代表的な症状は以下の通りです。

  • 突然の難聴
  • 音が響く
  • 耳鳴り
  • 耳の詰まり感
  • めまいや吐き気

突発性難聴を治すには、内服薬や点滴などの薬物療法が必要です。発症から1週間以内に適切な治療法を受けることで、約40%の人は完治し、50%の人は改善がみられます。発症から時間が経つほど完治が難しいため、症状を感じたらすぐに病院を受診してください。

聴神経腫瘍

聴神経腫瘍とは、音を伝える神経を囲っている部分に発生する良性の腫瘍です。中年以降に発症する場合が多く、ほとんどの腫瘍はゆっくりと発育します。中には成長が早い腫瘍もあり、腫瘍の増大に伴って以下のようにさまざまな症状を引き起こします。

  • 聴力の低下
  • 耳鳴り
  • めまい
  • 顔の麻痺やしびれ
  • 歩行障害
  • 嚥下障害

聴神経腫瘍の治療方法は外科治療放射線治療がメインです。腫瘍の大きさや成長スピードによっては経過観察を行うこともあります。腫瘍の大きさや患者さんの年齢、自覚症状の有無なども考慮して治療方針を決定します。

自律神経失調症

自律神経失調症とは、自律神経のバランスの乱れが原因で起こる身体のさまざまな不調です。特定の臓器や器官の病気ではないため、症状に個人差があることが特徴です。自律神経失調症の原因は、ストレスや生活習慣の乱れなど多岐にわたります。

耳鳴りやめまいと一緒に以下の症状がある場合は、自律神経失調症が疑われます。

  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 不眠
  • 肩こり
  • 発汗
  • 動悸
  • 不安感

困っている症状に対して対症療法を行いますが、自律神経失調症の改善には日々の生活習慣の見直しストレス発散が欠かせません。十分な睡眠や食生活の見直しを意識してください。

更年期

更年期とは女性の閉経をはさんだ前後10年間(一般的に45~55歳)を指し、この時期は心身にさまざまな不調が発生します。更年期に発生する心身の不調は「更年期障害」と呼ばれます。女性ホルモンの分泌が急激に減少することが原因です。

更年期障害の代表的な症状は以下の通りです。

  • めまい
  • 耳鳴り
  • 急な発汗(ホットフラッシュ)
  • 手足の冷え
  • 憂うつ、イライラ

更年期障害の症状は100種類くらいあると言われており、自覚症状には個人差が大きいです。実際はメニエール病などの病気が原因なのに、更年期のせいだからと諦めて受診をしないケースもあります。

気になる不調があったら、まずは医師へご相談ください。

耳鳴りとめまいの対処法を解説

耳鳴りとめまいは日々の生活習慣の見直しによって改善する場合もあります。ここでは耳鳴りとめまいの対処法を具体的に解説します。できそうな項目から少しずつ試してみましょう。

水分をしっかりとる

水分不足は身体のバランスを崩し、めまいや耳鳴りを悪化させることがあります。脱水症状が起こると身体全体の血液量が少なくなり、血流が悪くなってしまいます。特に内耳のリンパ液の流れが滞ると耳鳴りやめまいが強くなるため、こまめな水分補給が大切です。

身体が一度に吸収できる水分量は200〜250mlであるため、1回の水分補給ではコップ1杯程度の水を飲みましょう。きゅうりや大根など、水分が多い食べ物を食べるのも効果的です。反対にコーヒーなどのカフェインが含まれる飲み物は利尿作用があるため、水分摂取には適していません。

心臓や腎臓に疾患がある方は、水分の取りすぎは危険な場合があります。持病がある方は、事前に担当医に相談してください。

ストレスを発散する

ストレスは耳鳴りやめまいの大きな要因の一つです。長時間の仕事や人間関係のプレッシャーは自律神経に影響を与え、症状を悪化させます。ストレスが溜まっている人は、以下の方法を試してみましょう。

  • 趣味に没頭する
  • 深呼吸する
  • 湯船にゆっくり浸かる
  • 友達と話す
  • リラックスする時間を確保する

大事なのは自分に合ったストレス発散法を見つけることです。何かに没頭する時間は耳鳴り以外のことに関心があるため、耳鳴りによるストレスも軽くなります。日常生活の中で、ストレスを感じない時間を少しずつ増やしていきましょう。

十分な睡眠をとる

睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こし、耳鳴りやめまいの原因になります。以下の行動を意識して、十分な睡眠をとるよう心がけましょう

  • 就寝前はスマートフォンを見ない
  • 寝室の環境を整える
  • 毎晩決まった時間に就寝する
  • 湯船につかる
  • 寝る前にリラックスする時間を作る

睡眠不足は全身のさまざまな不調の原因です。十分な睡眠が取れていない方は、少しずつでも睡眠習慣を改善させましょう。

適度に運動する

耳鳴りやめまいの改善には適度な運動も効果的です。運動をすると耳への血流も良くなり、酸素や栄養がきちんと供給されるため、耳鳴りやめまいの改善が期待できます。

軽いウォーキングストレッチなど、簡単な運動から取り組んでみましょう。厚生労働省によると、1日8,000歩以上に相当する運動が健康づくりのために推奨されています。

病院へ行く

めまいの原因は複数あり、一般の方が原因を特定するのは難しいです。めまいや耳鳴りが頻繁に起こる場合は、早めに耳鼻咽喉科などの専門医へ相談しましょう。時間が経つと治療が難しくなる病気もあるため、早めの対応が大事です。

当院ではめまい外来を取り入れており、めまいの根本的な原因を調べたうえで病態に合った治療を提案いたします。めまいや難聴などの症状でお悩みの方は、当院にお越しください。

>>めまい外来について

耳鳴りやめまいがつらいときは耳鼻科で相談しよう

耳鳴りとめまいが同時に起こる場合は、耳に病気が隠れている可能性があります。耳鳴りやめまいは適度な水分補給やストレス発散、十分な睡眠などで改善する場合があります。しかし、症状がひどい場合や長引いている場合は、メニエール病や突発性難聴などの病気が潜んでいるかもしれません。

治療が遅れると完治が難しい病気もあるため、症状に悩んでいる場合は早めに専門医の耳鼻咽喉科へ受診してください。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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