なんだかにおいがおかしかったり、いつまでも鼻の奥に鼻水が残っていて不快に感じたりしていませんか?それは副鼻腔炎(蓄膿症)の症状なのかもしれません。
自然に治ることも多い病気ですが、治療が遅れると重大な合併症を引き起こしたり、最悪手術が必要になったりする可能性もあります。
この記事では、副鼻腔炎の症状や原因、治療方法についてくわしく解説していきます。
副鼻腔炎(蓄膿症)とはこんな病気
副鼻腔炎(蓄膿症)とは、細菌やウイルス感染などによって鼻の奥にある空洞(副鼻腔)で炎症がおこる病気です。
蓄膿症は慢性副鼻腔炎の俗称であり、この2つの言葉は同じ病気のことをさしています。風邪などに続いて発症する急性副鼻腔炎と、3ヶ月以上症状が続いている慢性副鼻腔炎があります。
乳幼児から高齢者まで発症する病気ですが、ほとんどの方は外来で治療が可能です。
副鼻腔炎の主な症状
粘り気の強い黄色や緑色の鼻水や、顔の痛みを訴えて受診される方が多いです。副鼻腔は左右それぞれに4つあり、炎症が起こっている場所によって痛むところが変わります。
目の痛みや歯の痛みを感じて、耳鼻咽喉科ではなく眼科や歯科に受診されてしまう方もいます。
主な症状は以下の通りです。
- 鼻づまり
- ドロッとした色付きの鼻水
- 鼻水がのどにたれる(後鼻漏)
- 痰がらみの咳
- 頭痛・発熱
- 眼の奥の痛み
- 歯の痛み
- 頬の痛み
- においが分からない
前兆や初期症状とは
副鼻腔炎は風邪症状に続いて発症する場合が多いため、前兆症状として鼻水や咳、発熱などが考えられます。
サラッとした鼻水からドロッとした鼻水に変わり、頬や歯、目の奥に違和感を覚え始めたら副鼻腔炎になり始めているかもしれません。
副鼻腔炎かどうかのチェック方法
副鼻腔炎か分からず病院に行くか悩んでいる方は、以下の症状に当てはまっていないかチェックしてみましょう。複数当てはまる方は副鼻腔炎になっている可能性があります。
- 常に鼻がつまっている
- 鼻をかんでも出ない
- 鼻水に色がついている
- 鼻水がくさい
- 目の周りや頬が痛い
- 鼻水が喉にたれてくる
- においがわかりにくい
とくに、鼻水が生臭いと感じる方は鼻の奥に膿がたまっている可能性があります。
副鼻腔炎の治療方法
鼻の中から膿を取りのぞき、腫れや炎症を無くすことで副鼻腔炎を改善させます。
症状に応じて抗生物質などを服用したり、鼻から霧状にした薬剤を吸い込む治療(ネブライザー療法)などを行ったりします。鼻水を吸引したり、生理食塩水も用いて鼻洗浄を行ったりして鼻の中をキレイに洗い流す治療も効果的です。
治りにくい難治性の副鼻腔炎の場合は手術する可能性もあります。
自力で治す方法はある?
副鼻腔炎の初期なら、治療しなくても1週間程度で自然に治る場合もあります。過労やストレスなど免疫力を下げる行動は避けて、免疫力を高める食事をとりましょう。
鼻の中を洗浄するために鼻うがいを行うのも効果的です。ただし、違う病気が隠れている可能性もありますし、長引いてしまう危険性もあります。安易に自己判断はせず、受診してきちんと検査してもらいましょう。
副鼻腔炎をそのままにしておくとどうなる?
副鼻腔炎をそのまま放置すると、感染が身体の奥にまで広がりさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。とくに鼻と耳が近い小児では中耳炎になってしまう方が多いです。
まれですが、感染が骨に広がって骨髄炎を起こしたり、脳や皮膚に広がって髄膜炎や蜂窩織炎(ほうかしきえん)になったり、視力に影響したりなど重篤な後遺症がでる可能性もあります。
治療のためによく処方される薬
急性副鼻腔炎の細菌感染には、ペニシリン系やセフェム系など殺菌作用のある抗生物質が使われます。
症状が長引いて慢性副鼻腔炎になっている場合は、粘膜をキレイに戻すために静菌作用のあるマクロライド系抗生物質を2~3カ月程度の長期服用が必要です。
そのほかにも炎症を抑えるために内服や点鼻のステロイド剤を使用したり、膿を排泄しやすくするための去痰薬なども使用したりします。妊婦さんなどで西洋薬が使いにくい方には漢方薬という選択肢もあります。
ひどくなると手術が必要な場合も
薬物治療の効果がでない場合や、鼻の中の骨が変形して鼻づまりが発生しやすく、副鼻腔炎を繰り返す方には手術が必要な場合があります。主に2種類の手術があります。
1つ目は鼻の中から内視鏡を入れて、鼻と副鼻腔をつなぐ通り道を広げつつ病変部を取り除く内視鏡下副鼻腔手術(ESS)です。
2つ目は鼻中隔など鼻の中の骨が曲がっていたり、粘膜の腫れが強かったりする場合、曲がりを腫れを治して鼻の通り道を改善させる内視鏡下鼻内整復術があります。
どちらも入院治療が必要です。
副鼻腔炎の手術については、こちらの動画でも解説していますので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。
副鼻腔炎になる原因
鼻の中で細菌感染が広がり、副鼻腔にたまった膿や異物が適切に排出されないことが原因です。
風邪などの上気道感染やアレルギー性鼻炎などで鼻の粘膜が腫れると、副鼻腔から細菌などの異物を排泄できなくなってしまいます。
そのほかにも左右の鼻を仕切っている部分が曲がっていたり(鼻中隔湾曲症)、鼻ポリープ(鼻茸)などができていたりして、鼻の中の形状が悪く通気性が良くないことも原因の一つです。
また、血液中の白血球の一種、好酸球による異常な炎症が原因となる副鼻腔炎を好酸球性副鼻腔炎といいます。このタイプは治りにくく再発しやすいです。
副鼻腔炎になりやすい人の特徴
副鼻腔炎は、風邪をひいたあとにだれでも発症する可能性がある病気です。日頃から空気が乾燥しているところや、空気の汚いところにいる方は鼻の粘膜が荒れやすく発症しやすいので注意してください。
とくに、加齢やストレスなどで免疫力が低下して細菌感染を引き起こしやすい方や、粘膜が腫れやすい喘息やアレルギー性鼻炎の方は注意しましょう。肥満傾向の方や喫煙者の方も炎症をおこしやすいため、副鼻腔炎になりやすいです。
副鼻腔炎の検査方法・診断
副鼻腔炎の診断は、自覚症状などを問診したり、内視鏡などで鼻の中の状態を確認したりして行います。カメラで確認できない部分の炎症を確認するためにX線(レントゲン)検査を行う場合もあります。
これらの検査は外来で行うことが可能です。そのほかにより詳細に重症度など検査したい場合は血液検査やCT検査などを行う場合もあります。
自宅でできる副鼻腔炎対策
副鼻腔炎は風邪などの感染症が原因で発症するため、風邪をひかないよう気をつけることは大切です。花粉症などのアレルギーを持っている方は、アレルギー治療も合わせて行うと良いでしょう。
普段から鼻づまりを予防して、鼻粘膜を傷つけないことが大切です。空気が乾燥している場合は加湿器なども活用しましょう。
膿を出す方法について、以下の動画でも解説しているので、詳しく知りたいかたはぜひチェックしてみてください。
鼻の中を洗浄する鼻うがい
鼻づまりを解消して、鼻の中をキレイにするための鼻うがいは予防にも有効です。自宅で塩と水があれば作れますが、失敗してしまうとツンとした刺激があるだけでなく反対に鼻の粘膜を傷つけてしまうかもしれません。
鼻うがい専用キットや刺激のない生理食塩水などを使うことをおすすめします。ドラックストアやインターネットで購入できます。
普段からできるだけ控えるべきこと
副鼻腔炎対策として普段から控えるべき事項は下記の3つです。
- 飲酒
- 喫煙
- 鼻すすり
お酒を飲むと血管が広がってしまい、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりの原因になります。喫煙も煙が鼻を傷つけて粘膜が荒れてしまいます。
鼻水は細菌などの異物を身体の外に出す働きもありますが、鼻すすりをしてしまうと鼻の奥に細菌がもどってしまうのです。鼻すすりは副鼻腔炎だけでなく中耳炎の原因にもなります。
また、市販の点鼻薬も使いすぎると血管が腫れて鼻づまりを引き起こす可能性もあるので、注意してください。
鼻づまりや痰が続く場合はできるだけ早く病院へ
副鼻腔炎は自然に治る場合もありますが、適切に対応しないと長引いてしまい手術が必要になる場合もあります。
鼻づまりや痰、色のついた鼻水がでるようなら早めに治療を開始しましょう。
少しでも気になる症状がでたときは、専門医である耳鼻咽喉科に相談しましょう。
記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。