耳瘻孔とは?生まれつき赤ちゃんにあってもほとんど問題ない理由

目次

耳瘻孔とはどんな病気

耳瘻孔は生まれつきの病気で、耳周辺に小さな穴が存在することを指します。

正式には「先天性耳瘻孔」といい、この耳瘻孔を持つ多くの人は、ほとんど何の症状も出ずに生涯を過ごしています。

赤ちゃんにもある耳瘻孔

生まれつきの病気のため、赤ちゃんにも耳瘻孔が見られることがあります。

出生直後に気づいたご両親が心配し、相談されるケースが少なくありませんが、基本的には「特別な対処は不要」というのが結論です。

 

穴の周囲に汚れが溜まった場合は、軽く拭く程度で、無闇に触らないように注意することが大事です。

しかし、耳の形に異常がある場合は難聴を合併している可能性があり、大きな病院で詳細な検査を受けることをおすすめします。

耳瘻孔ができる原因

耳瘻孔は、赤ちゃんが母親のお腹の中で耳が形成される時に、複数のパーツが完全に合わず、隙間が生じて発生します。東洋人の発生率は3〜10%で、比較的高いです。

瘻孔の下には瘻管と呼ばれる管が存在し、1〜2cmほどの浅いものが一般的で、形状は真っすぐのもの、枝分かれしたものなど様々です。

 

耳瘻孔は遺伝的要因があり、両親や祖父母に瘻孔がある場合、子どもにも発生する可能性が高まります。

また、鰓耳腎症候群(さいじじんしょうこうぐん)やTownes-Brocks症候群(タウンズブロックスしょうこうぐん)といった遺伝性難病の患者にも耳瘻孔がよく見られることが知られています。

耳瘻孔があってもほとんど症状が出ない

耳瘻孔には特に症状が現れないことが多いですが、穴に垢や汗などの分泌物が溜まることで、白色で臭いチーズ状の分泌物が出ることがあります

これに細菌が付着し感染すると、周囲の皮膚に痛みや腫れ、かゆみが生じ、悪化すると膿が溜まることがあります。

こうした症状が現れた場合、耳鼻科や形成外科を受診することが適切です。

耳瘻孔の治療法は?

耳瘻孔は自然に消失することはなく、感染が起きた場合は抗菌薬による治療が行われます。

炎症がひどく膿が溜まっている場合は、切開が必要になることもあります。

 

感染が一度起こると、再発しやすくなるため、根本的な治療として瘻管の除去手術が推奨されることが多いです。(ただし、当院では手術を行っていないため、他院への紹介となります)

炎症を繰り返すと周囲の組織が硬くなるため(瘢痕化)、切除範囲が大きくなり、摘出が難しくなり、遺残による再発の可能性が高くなります。

耳瘻孔の手術

無症状の場合、手術は必要ありません。

感染が一度でも起こった方が手術の対象となり、手術は感染が落ち着いた状態になってから行います。

通常、耳の軟骨手前で瘻管が盲端となり終わりますが、稀に軟骨を貫通することもあります(この場合、傷が耳の後ろにもできることがあります)。

※当院では手術を行っていないため、他院への紹介となります

手術の流れ

手術では、患者さんの状態に応じて局所麻酔または全身麻酔かを判断します。

細い管(ブジー)や特殊な染色液を用いて、穴から瘻管の走行を確認しながら摘出します。

炎症が繰り返されている場合、瘻管の走行が複雑になっていることがあり、瘻管の一部が残ってしまい再発する可能性があります。

手術後するべきこと

術後1週間程度で抜糸が行われます。

術後3ヶ月間はテーピングを続けることをおすすめします。

これにより、色素沈着の予防や傷が広がるのを防ぎます。

術後は傷の周囲に炎症があるため、約半年間は赤みや硬さが残ることが多いですが、1年ほどで手術部位は落ち着きます。

耳瘻孔の予防法

耳瘻孔は先天性の病気のため、予防することはできません。

夏場は汗をかきやすく、皮膚トラブルが増える時期であるため、感染に注意してください。

耳瘻孔について理解し、困った際は病院へ

この記事では、耳瘻孔の特徴や治療法について紹介しました。

耳の横に小さな穴があり、何らかの症状が出た経験がある人は、耳鼻科や形成外科に相談してみましょう。感染を避けるため、不用意にいじったり触ったりしないことが重要です。

記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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