【めまいは自宅で治せる】良性発作性頭位めまい症の症状や原因・治療方法を解説

上をむいたときや振り返ったときに、ぐるぐる回るようなめまい・吐き気を感じたことはありませんか。めまいは生活の質を大きく下げるため、適切に対応する必要があります。


この記事では、外来でよく見かける良性発作性頭位めまい症について症状や治療法、なりやすい方などわかりやすく解説します。

良性発作性頭位めまい症について動画でも解説していますので、聞きながら知りたい方はぜひご覧ください。

目次

良性発作性頭位めまい症とはこんな病気

良性発作性頭位めまい症とは、頭の位置が変化したときに回転性のめまいがおこる病気のことです。言葉どおり良性のめまいで、命にかかわる病気ではありません。


発症する理由は、耳の奥の内耳にある耳石がはがれてしまい、三半規管に入り込んでしまうからです。三半規管は身体のバランスをとる器官で、頭の位置の変化を感知することで平衡感覚を保ちます。


耳石が入り込むと、三半規管の働きが悪くなってしまうため、めまいが起こってしまいます。

良性発作性頭位めまい症の症状

この病気はじっとしているときには起こらず、特定の向きに頭を動かしたときに症状がでるのが特徴です。ぐるぐる回るような回転性のめまいで通常は1分以内でおさまりますが、同じような頭の動きをするとまた症状がでてしまいます。


メニエール病など他のめまいとは違い、難聴や耳鳴りなど耳にかかわるその他の症状は起こりません。

主な症状は以下の4つです。


  • 短時間のまわるようなめまい
  • ふわふわしためまい
  • 吐き気や嘔吐
  • 発症時に眼球が振れる(眼振)

診察では、症状の聞き取りや眼振の有無などを確認することでめまいの種類を判別します。

完治までにかかる期間

ひどい症状は数日でよくなり、2-3週間程度で自然に完治する方もいます。ただし、1ヶ月以上長引いてしまう方がいたり、1割程度の方は再発してしまう可能性があったりする病気です。

良性発作性頭位めまい症の治療方法

この病気は自然に良くなることもありますが、はやく治すための治療方法があります。耳石を移動させるエプリー法などのめまい体操は特に効果的です。吐き気などの症状を緩和させるために薬を使用する場合もあります。

エプリー法:三半規管内の耳石を元の位置に戻す治療

良性発作性頭位めまい症は、はがれ落ちた耳石が三半規管の中に入りこんでしまうため発症します。その耳石の位置を元に戻す治療法のひとつがエプリー法です。


多くの方がこの方法ですぐに改善を実感でき、繰り返すことでより効果がでます。注意点として、エプリー法ではひとつひとつの動作のたびにめまい症状がでる場合があります。めまいの症状が落ち着くまで待つか、2-3分程度静止してから次の動作にうつりましょう。


具体的なエプリー法の手順は以下の通りです。(右耳が悪いときの方法


  1. 布団の上など、横になれる場所に足を伸ばしてすわります。
  2. 正面を向いた状態から右ななめ45度の方向に顔を向けます。
  3. 顔の向きはそのままの状態で、身体を後ろに倒して寝ます。
  4. 右に向けていた顔を今度は左ななめ45度の方向に動かします。
  5. その姿勢のまま身体全体を90度左へ回し、身体は横向き、顔は下向きになるように寝ます。
  6. 頭と身体の位置関係を保ったまま身体を起こします。
  7. 最後にうつむくように首を15度ほど前に傾けてください。

この一連の動作を1日3回程度、身体に負担がかからないように注意して行いましょう。首や腰が悪い方は悪化してしまう可能性もありますので、お気をつけください。

薬を投与しての治療

この病気に対する特効薬のような薬はありません。対症療法がメインで、吐き気や嘔吐に対して吐き気止めの薬を使用したり、内耳の循環を良くするための薬を使用したりします。


嘔吐がひどく脱水の危険がある方には、水分補給のために点滴を行う場合もあります。良性発作性頭位めまい症にはエプリー法など、薬以外での治療(運動療法)が大切です。

発症時の過ごし方の注意点

発症時はめまいによる転倒やケガに十分注意してください。吐き気や嘔吐がある場合、吐いたものがのどに詰まらないように右を下にして横向きに寝ましょう。


頭の位置が動くとめまいが再発します。急に振り返ったり、下を向いたりしないように注意しましょう。

NHK「ためしてガッテン」でも治療方法が紹介

自宅でもできるめまいを解消する体操が、NHK「ためしてガッテン」で紹介されています。座った状態や寝ている状態で、ゆっくりあたまを動かすだけの簡単な体操です。


耳石の位置によって運動が変わりますので、医師の指導を受ける必要がありますが、8割以上の方が効果を実感しているそうです。動画付きで詳しく体操方法を知りたい方は、以下のURL から確認してください。

https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_591.html

良性発作性頭位めまい症になる原因

発症の原因である耳石がはがれ落ちてしまう明確な理由はわかっていません。日常的に頭をぶつけるスポーツ(サッカーなど)をしていたり、反対に頭をほとんど動かさない生活をしていたりするのもよくありません。


また、耳石はカルシウムでできているので、骨粗しょう症などカルシウムが不足している方もなりやすいと言われています。

そのほか考えられる主な原因はこちらです。


  • 他の耳の病気(メニエール病など)
  • 更年期以降の女性
  • 加齢
  • 寝返りの少ない方
  • 枕がひくい方
  • 手術後など長期間寝たきりになった後
  • 頭のケガ
  • 睡眠不足
  • ストレス

症状が出やすい人の特徴

デスクワークなど長時間頭を動かさずに作業をしている方は症状が出やすいです。さらに骨粗しょう症を発症しやすい高齢の方や、閉経の影響でカルシウム吸収が悪くなる女性は耳石がはがれやすいので発症しやすいと考えられます。

自宅でのめまい治療でも治らないときは病院へ

この記事では良性発作性頭位めまい症について症状や原因、治療法について解説しました。エプリー法など自宅でできる体操もありますので、医師の診察にしたがって正しく行いましょう


めまいは耳の異常だけでなく、脳の異常が原因でおこる場合もあります。めまいを何度も繰り返したり、難聴や耳鳴、手足のしびれなど他の症状があったりする場合は、お近くの耳鼻咽喉科に相談してください。

記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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