自分の声がこもって聞こえたり、耳のつまり感が長引いたりしていませんか?それは耳管狭窄症という病気かもしれません。この記事では、耳管狭窄症の症状や原因、治療方法を解説しつつ、似たような病気との違いについてもくわしく解説します。
動画でも解説していますので、気になる方はこの記事と合わせてご覧ください。
耳管狭窄症とはこんな病気
耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)とは、耳と鼻をつなぐ管(耳管)が何らかの理由で狭くなり、ふさがってしまう病気です。症状はトンネルに入ったときのような詰まり感や、自分の声や呼吸音がひびいて聞こえるなどあります。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、上咽頭炎などが原因で、鼻の奥で炎症が起こることをきっかけに発症することが多いです。
耳管狭窄症と耳管開放症の違い
耳管狭窄症は耳管が狭くなる病気ですが、反対に耳管が開いたままになってしまう病気を耳管開放症と言います。耳管は必要なときに閉じてくれないと、発声時や呼吸時に鼻から耳へ空気が流れ込み、外からの音ではなく自分の鼻息で鼓膜がふるえてしまうのです。症状は耳管狭窄症と似ており、耳の詰まり感や自分の声がひびくように感じます。
耳管狭窄症との違いとして、耳管開放症は頭を下げたり横になって寝ていたりすると症状が軽くなります。
耳管狭窄症と突発性難聴の違い
突発性難聴も同様に聞こえにくさや声がひびくなどの症状がありますが、耳管狭窄症とは違ってめまいや吐き気など聴力以外の症状も起こります。突発性難聴はストレスや過労などが原因で発症することが多く、治療方法も耳管狭窄症とは違います。
突発性難聴は早期発見・早期治療が大切です。気になる症状があればすぐに耳鼻咽喉科の医師にご相談ください。
耳管狭窄症の主な症状
耳管狭窄症では耳がふさがったような感じ(耳閉感)があります。エレベーターや飛行機に乗ったときや、トンネルに入ったときなどにおこる耳閉感と同じ感覚です。
主な症状は以下の通りです。
- 耳のつまり感
- 自分の声や呼吸音がひびく
- 音がこもるように感じる
- 聴力が低下する
- 耳鳴りがする
- 自分の声が大きくなる
- 耳ぬきができなくなってしまう
耳の中でポコポコと音が鳴る場合がある
耳管狭窄症では、中耳にたまった滲出液(細胞からでる液体)がうまく抜けないため、耳の中でポコポコと音が鳴るように感じる場合があります。この状態が長引く場合は、滲出性中耳炎を発症している可能性があります。
滲出性中耳炎になる場合もある
滲出性中耳炎とは、中耳に滲出液がつまってしまうことで鼓膜が正常に動かず、聴力が低下してしまう病気です。耳管狭窄症の影響で耳管がふさがってしまうと、滲出液がうまく排泄されず発症しやすいです。
耳管狭窄症の原因は風邪や鼻の炎症であることが多い
耳管狭窄症は風邪などで鼻の奥に炎症が起きて、耳管の入り口がふさがることが原因で発症します。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎による鼻水や膿が耳管に流れ込んでしまったり、鼻と耳がつながっている部位周辺などで炎症が起きて腫れたりすると、耳管がふさがりやすくなります。
ストレスで耳管狭窄症になることは少ない
耳管狭窄症は、炎症などの理由で構造的に耳管がふさがってしまうことで発症するため、ストレスが原因で発症することは少ないです。しかし似たような症状をおこす耳管開放症では、ストレスが原因で発症する場合もあります。突発性難聴もストレスが原因でおこることがありますので、診察時に問診や検査をして判断していきます。
耳管狭窄症の治療方法
耳管狭窄症の治療は、耳管をふさいでしまっている原因を取り除くことが大事です。原因となる炎症を治療したり、空気を送りこんで耳管の閉塞を改善させたりします。症状が長引く方には、鼓膜を切開して滲出液を排泄させる処置をする場合もあります。
耳管狭窄症は放置していても自然には治りにくいので、医療機関で適切な治療を受けてください。
炎症の治療
鼻の奥でひどい炎症があると耳管がふさがってしまうため、原因となる炎症を治療することが大事です。治療は、抗ヒスタミン薬や抗生剤などの薬物治療が中心となります。上咽頭炎が原因で耳管がふさがっている方には、上咽頭炎の治療に効果が期待できるBスポット療法をおこなう場合があります。
Bスポット療法についてくわしく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
耳管通気
耳管通気とは、狭くなった耳管を広げて、鼓膜の内側まで直接空気を送る治療方法です。たまった滲出液を排泄させる効果も期待でき、処置後すぐに耳閉感や難聴が改善する方もいらっしゃいます。カテーテルを鼻の奥までいれる方法や、ポリッツェル球というゴム風船のような装置を使う方法があり、診察時におこなうことが可能です。
漢方薬による治療
耳管狭窄症の治療に漢方薬はあまり使用しませんが、原因となる副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療のために漢方薬を使用する場合があります。
耳管開放症では漢方薬がよく効く場合があり、気持ちを落ち着ける作用がある加味帰脾湯(かみきひとう)や、耳管を引き締めて持ち上げる作用が期待できる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などを使用します。
耳管狭窄症の診断・検査方法
問診で副鼻腔炎などの原因疾患にかかっていないか確認しつつ、耳ぬきができないなどの自覚症状を聞き取ります。直接耳の中を見て、鼓膜の凹みや滲出液の有無も確認します。耳管開放症や突発性難聴など別の疾患との鑑別も必要です。
鼓膜の動きを調べるためのティンパノメトリー検査や、難聴具合を聴力検査で調べます。大人の耳管狭窄症では、ごくまれに腫瘍が原因で発症していることもありますので、必要に応じて内視鏡検査もおこなう場合もあります。
耳管狭窄症の予防方法
風邪や副鼻腔炎などが原因で発症するため、日頃から体調を崩さないように注意することが大事です。一般的な対策と同様に手洗いやうがいなどを徹底してください。鼻すすりや強く鼻をかむのも、耳に負担がかかってしまうのでできるだけ控えましょう。
ダイエットを目的とした急激な食事制限による栄養不足や慢性的な運動不足、喫煙習慣の見直しなど、生活習慣を改善することも耳管狭窄症の予防には大切です。
耳に不快感・違和感が治らない場合は医療機関を受診しよう
聴力低下や耳閉感など、同じような症状でも原因となる病気はさまざまです。病気によって治療方法も変わりますので、安易に放置せず専門家の診察を受けることが大切です。耳の不快感や違和感が長引いて治らない場合は、耳の専門家である耳鼻咽喉科を受診しましょう。
記事を読んで不明点や個人的な質問があれば、江東区 東大島駅徒歩1分 よし耳鼻咽喉科までお気軽にご連絡ください。