耳鳴りの治し方を詳しく解説!自分でできるツボ押しから耳鳴りとの向き合い方まで!

耳鳴りの症状で困っていませんか?耳鳴りはセルフケアやツボ押しで症状を緩和できることもあれば、すぐに病院を受診して治療を始めた方がよい場合もあります。この記事では、耳鳴りの治し方について、自分でできる対処法から病院で受ける治療まで詳しく解説します。

目次

自分でできる耳鳴りの対処方法

耳鳴りは、聴神経や脳の過剰反応、体や心へのストレスによる自律神経の乱れが原因となることがあります。生活習慣の工夫で耳鳴りの症状を改善できる場合があるため、ここではすぐに取り入れられる日常生活のポイントを紹介します。

休息をとる

過度な疲労は、耳周りの筋肉を緊張させ血流を悪化させるため、耳鳴りを引き起こします。ストレスによって自律神経のバランスが乱れて耳鳴りが生じる可能性もあるため、十分な休息をとりましょう。

体と脳を休めるためには、以下の行動がおすすめです。

  • 家事や仕事の合間に適度な休息時間をつくる
  • 質の良い、十分な時間の睡眠をとる
  • 森林浴で自然に触れる
  • ゆっくりとお風呂につかる

疲れやストレスを溜めないように気を付けましょう。

体の緊張をほぐす

体の緊張状態が続いていると、筋肉がこわばって血管が収縮し血流が悪化したり、自律神経が過敏になったりします。仕事で緊張する場面が多い方は、意識的に深呼吸やストレッチをして体の緊張をほぐしましょう。しっかり吐きながら深い呼吸を続けることで、副交感神経が有意になり、体だけでなく心の緊張もほぐすことができます。

血行をよくする

酸素や栄養は血流とともに運ばれます。耳への血流が悪くなると音を感じ取る細胞への酸素や栄養の供給が不足してしまい、聴力が低下し、耳鳴りを生じやすくなります。軽い運動や長めの半身浴、マッサージは血のめぐりの改善につながるため、生活に取り入れてみましょう。

喫煙やカフェイン摂取を控える

タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、耳周りの血流が悪くなるおそれがあります。就寝前にカフェインを摂取することで眠れなくなり、夜間の耳鳴りが余計に気になってしまうこともあります。喫煙や夕方以降のカフェイン摂取は控えるようにしましょう。

ビタミンB12を摂取する

ビタミンB12は末梢神経の代謝を改善する作用があり、突発性難聴や耳鳴りの治療薬としても使われています。ビタミンB12は貝類(あさり、しじみ、かき)、青魚(いわし、さんま)、レバーなどに多く含まれています。食事に積極的に取り入れてみましょう。

ストレッチする

普段あまり使わない筋肉をゆっくり動かしてストレッチすることで、筋肉の緊張がほぐれます。筋肉が緩み血行がよくなることで、耳鳴りの不快な症状を軽くする効果が期待できるのです。3STEPでできる簡単なストレッチを紹介するので、やってみてください。

  1. 耳鳴りがする耳に小指を入れ、首を左右どちらかにひねる
  2. 反対側に首をひねる
  3. 耳鳴りが治まらなければ、反対側の耳に小指を入れ、同じように首を左右にひねる

ストレッチを行い、首や耳周りの血流を良くすることが大切です。

耳鳴りを治すためのツボ押し

耳鳴りの原因の一つは、耳周辺の血行不良です。ツボを押すと対応する部位の血行が改善されるため、耳鳴りが治まる可能性があります。ツボ押しは、場所や時間を取らずにサッと行えます。耳鳴りがしたら、すぐにツボを押してみましょう。

耳鳴り改善!基本的なツボの押し方

ツボ押しは自分でできる耳鳴りの対処法なので、覚えておくことで、耳鳴りによる辛さを減らすことが期待できます。ツボ押しをする時には、以下の基本的なやり方を参考にしてください。

  • 爪を立てず、指の腹で押す
  • 力加減は「痛いけど気持ち良い」と感じる程度
  • ツボを押す時は指を左右に動かさず、垂直に動かす
  • 1カ所あたり5~10秒が目安
  • 1セット3~5回が目安
  • ツボを押す時は息を吐きながら

ツボごとに効能や押し方のコツがあるため、次の項目で詳しく解説します。

耳鳴りに効くツボ12選

耳鳴りに効果のある代表的なツボを表にまとめました。耳鳴り以外の体の不調に効果が期待できるツボもあります。ご自身の不調に効きそうなツボがあればためしてみましょう。

部位名称期待できる効果
耳周り聴宮(ちょうきゅう)耳全般の不調を改善リフトアップの美容効果
翳風(えいふう)耳鳴り・肩こり・頭痛顔のむくみ・くすみを改善
耳門(じもん)耳鳴りの改善・リフトアップ自律神経のバランスを整える
寛骨(かんこつ)耳鳴り・頭痛・めまい・眼精疲労・肩こり・不眠の改善
瘈脈(けいみゃく)耳鳴り・難聴・頭痛・めまいの改善更年期障害による耳閉感の解消
角孫(かくそん)耳鳴り・頭痛・眼精疲労の改善抜け毛予防・歯痛の改善
頭竅陰(あたまきょういん)耳鳴り・難聴・めまいの改善
頭部・首天柱(てんちゅう)耳鳴り・めまい・頭痛・充血視力低下・鼻づまりの改善
風池(ふうち)めまい・眼精疲労耳鳴り・頭痛・肩こりの改善
百会(ひゃくえ)自律神経のバランスを整える
手の甲中渚(ちゅうしょ)耳鳴り・めまい・頭痛の改善むくみ改善・アレルギー症状の緩和
足首太谿(たいけい)加齢による耳鳴り・難聴・めまい・排尿障害・疲労感の軽減

今回は、耳周りにある代表的なツボの押し方を詳しくお伝えします。耳周りのツボは、できれば左右同時に押しましょう。指の腹や背を使って、心地よいと感じる程度の力加減で行うのがコツです。

聴宮

聴宮(ちょうきゅう)は「耳鳴りの特効薬」と呼ばれることもあり、即効性を期待できます。聴宮を探す時には、人差し指を耳穴の前の軟骨にあてます。そのままの状態で、口を開けた時にくぼみができる場所が聴宮です。口をあけたまま、人差し指の腹でゆっくり3〜5回押してください。聴宮を刺激することで耳周辺の血行が改善されて、耳鳴りが緩和されやすくなります。

耳門

耳門(じもん)を刺激することで、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。ストレス・疲労による耳鳴りに効果的です。耳門の場所は聴宮の指1本程度上で、押さえると脈打つところです。痛みを感じやすい部位なので、指の腹を使ってゆっくり優しく押しましょう。

翳風

翳風(えいふう)は、耳たぶのすぐ後ろのくぼみの部分で、指先で強く押すとあごのあたりに響くような痛みを感じるところです。翳風を左右同時に押すことで、首周りの血行が改善されます。耳鳴りだけでなく、肩こりや頭痛にも効果のあるツボです。

瘈脈

瘈脈(けいみゃく)は耳の後ろの付け根にあるツボです。まず、耳の後ろに指をあて、指を耳たぶに沿って下に動かし、くぼんだ部分が瘈脈とわかります。耳の裏を押す時には、軽く握ったこぶしの指の背で押すと良いです。息を吐きながら、左右同時に痛くない程度の力で押してみましょう。瘈脈は更年期障害による耳が詰まった感じを解消する効果も期待できます。

完骨

完骨(かんこつ)は耳の後ろにあるツボで、顔周りの血行を良くして自律神経の不調を改善する効果があります。完骨の場所は、耳の後ろにある出っ張った骨の下にあるくぼんだ部分です。完骨を押す時には、両手を逆さにして頭全体を包むようにします。親指を完骨にあてて、気持ちいいと感じる程度の強さで、ゆっくり押してください。ツボを頭の中心に押し込むようなイメージで行いましょう。

頭竅陰

頭竅陰(あたまきょういん)は、耳の後ろの出っ張った骨部分の上端にあります。耳の後ろの骨に指を沿わせて、くぼみを感じる部分を探してください。中指を使って垂直にゆっくり押してみましょう。頭竅陰を刺激することで、頭部の血行不良が改善されます。脳への血流が良くなり、耳鳴りのほか難聴やめまいも改善されやすくなるのです。

NHK「ためしてガッテン」でも耳鳴り特集

耳の持つ「注意力」と耳鳴りには関係があると言われています。実は、耳の聞こえ方は注意力次第で変わってくるのです。特に、自分自身に関することや危険を知らせる音には注意が向きやすいといわれています。注意力が悪い方に働くと、以下のように耳鳴りの悪循環が起こってしまいます。

  1. 耳鳴りを感じる
  2. 注意が耳鳴りに向く
  3. 苦痛を感じる
  4. さらに注意が耳鳴りに向く
  5. 耳鳴りが強くなる

注意力を耳鳴りから外すためには、音響療法耳鳴り以外の何かに集中する方法があります。

夜眠る前に無音の環境になると、耳鳴りを強く感じてしまう方が多いです。音響療法では、寝る時に滝の音や小川のせせらぎの音などの自然環境音を流します。滝の音は低い音から高い音までまんべんなく含んでいるため、耳鳴りの音を隠してくれる効果があります。

音以外の方法で耳鳴りから注意を外すには、耳鳴り以外の何かに集中するのも良い方法です。例えば、以下のような行動や趣味を取り入れることで耳鳴りから注意をそらして、耳鳴りとうまく付き合っていける方もいらっしゃいます。

  • 絵を描く
  • スポーツ
  • アロマや入浴剤の香り
  • 囲碁・将棋
  • ヨガ
  • 写経

どんな時に耳鳴りを感じていなかったのか理解して、耳鳴りが気にならない時間を増やしましょう。

キーンと耳鳴りが続く原因とは?治療法と向き合い方を解説!

耳鳴りが起こる原因は難聴によるものや、体調やストレスによる影響、治療が必要な病気が隠れている場合があります。突然症状が現れた場合や、症状が続いたり悪化したりする場合には、耳鼻咽喉科を受診し、原因となる病気がないか診察を受けることが望ましいです。耳鳴りが続く原因をいくつか紹介するので、ご自身の症状にあてはまるかどうか確認してみましょう。

キーンと耳鳴りが続く原因

耳鳴りが続く原因は5つ考えられます。それぞれ詳しく解説していきます。

  1. 突発性難聴

突発性難聴は、突然片耳の聞こえが悪くなる病気です。耳鳴りやめまいを伴うこともあります。耳鳴りの症状が強いと、難聴に気が付きにくいので注意が必要です。治療をすることで、難聴とともに耳鳴りも改善しますが、治療開始が遅れると難聴や頑固な耳鳴りの後遺症が残ることがあるため、早めの受診が必要です。

  1. 音響外傷、騒音性難聴

音響外傷は、ライブ会場などで大音響にさらされたり、ヘッドホンで長時間にわたり大音量の音楽を聞いたりすると発症しやすい症状です。自然に回復することもありますが、症状が長引く場合には、耳鳴りや難聴の症状が治りにくくなるおそれがあるため、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

騒音性難聴は、職業柄、騒音にさらされながら仕事をする方に発症しやすい症状です。長年大きな音を聞き続けることで徐々に聴力が低下し、耳鳴りを自覚するようになります。治療により回復させることが難しいため、耳栓を使用する、大きな音を聞く時間を短くするなどの予防が重要です。

  1. 聴神経腫瘍

耳の神経に発生する良性の腫瘍が聴神経腫瘍です。片耳が聞こえにくくなったり、耳鳴りやめまいを起こしたりするのが代表的な症状です。片側だけに原因不明の耳鳴りと難聴がある時には、聴神経腫瘍が原因の可能性もあります。耳鳴りの症状が続く場合には、自己判断で対処せず病院を受診することが大切です。

  1. 加齢(老人)性難聴

耳鳴りの原因で最も多いのが、加齢によるものです。内耳にある音を感じるための細胞が老化によって壊れ、耳鳴りや難聴の症状が起こります。加齢性難聴は、両方の耳に起こることが多く、高い音から聞こえにくくなることが多いです。加齢による症状は、難聴だけの場合や耳鳴りだけの場合など人によってさまざまですが、誰でも発症する可能性のある難聴といえます。

  1. 耳以外の病気

難聴を伴わない耳鳴りの場合は、耳以外の病気が原因の可能性もあります。耳の横には、太い血管が存在していて、高血圧や高脂血症による動脈硬化があると血液が流れる音が聞こえやすいと言われているのです。更年期障害や、心理的ストレスが原因で耳鳴りを引き起こすこともあります。

耳鳴りの治療方法

耳鳴りの治療では、原因となる病気や難聴があるかどうかを診察時に確認して、患者さんの状態に合わせた方法を選びます。

  • 薬物療法

突発性難聴や音響外傷による耳鳴りの場合、ステロイド製剤、血流改善薬、ビタミンB12製剤を使用します。早期治療することで、聴力が元に戻りやすいです。加齢による難聴の場合は、老化が原因であるため薬剤による根本的な治療は難しいといわれていますが、症状緩和を期待してビタミンB12製剤やアミノ酸製剤を使用する場合もあります。

  • 音響療法

音響療法は、耳鳴りと似た音や自然の音を聴くことで耳鳴りから意識をそらし、慣らしていく治療法です。テレビやラジオの環境音を利用する方法のほかに、いつでも音が聞けるように人工の治療音を発生させるサウンドジェネレーターを耳に装着する方法もあります。

  • 心理療法

耳鳴りに関する不安や苦痛が強い場合には、カウンセリングを通して耳鳴りに対して正しい知識を持つことも効果的です。「耳鳴りを理解する」「耳鳴りをおそれない」「耳鳴りを意識しすぎない」といったような耳鳴りとの上手な付き合い方を知ることで、耳鳴りによる不安や苦痛を解消することを目指します。

  • 耳鳴再訓練療法(TRT)

音響療法とカウンセリングを組み合わせた治療法です。耳鳴りを完全に消すのではなく、正しい知識と音刺激によって、耳鳴りへの意識をそらし、徐々に慣れていくことを目的とします。カウンセリングにより耳鳴りの仕組みや、耳鳴りは怖いものではないと理解してもらうのが最初の段階です。その上で、耳鳴りが少し聞こえる程度の雑音を生じるサウンドジェネレーターを1日6時間ほどつけて行います。

  • 補聴器の装用

難聴が耳鳴りの原因になっている場合は、補聴器の利用が効果的です。難聴になると、聞こえない音を聞き取ろうとして、脳が音刺激への感度を上げます。音に対して過剰に反応してしまうため、耳鳴りを自覚しやすくなるのです。補聴器を使って脳にしっかりと音刺激を入れることで、過剰に反応していた脳は元の正常な状態に戻り、耳鳴りの症状改善につながります。

耳鳴りの症状に合わせて適切な治療を受けよう!

耳鳴りの治し方は、自分で対処できる方法から医療機関で治療する方法まで幅広く知られています。何が原因で耳鳴りが起きているのかを早い段階で突き止め、適切な治療方法を選択することが大切です。十分な休息をとって耳鳴りの症状がなくなるのであれば、ストレス性の耳鳴りと考えられます。ただし、耳鳴りが1日中続く、めまいやふらつきといった耳鳴り以外の症状がある場合には、病気が原因の可能性もあるため、すみやかに病院を受診しましょう。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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