静かな場所で耳鳴りを感じたことはありませんか。耳鳴りの原因はさまざまですが、中には危険な病気が潜んでいることがあります。
この記事では、耳鳴りの原因や隠れている可能性がある病気について詳しく解説します。
耳鳴りに悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
耳鳴りを起こす6つの原因
耳鳴りとは、周囲で音が鳴っていないのに耳の中で音が聞こえる状態です。主にこれから紹介する6つの原因で起こります。
一時的な耳鳴りの場合は心配はほとんどありませんが、中には重大な病気が隠れている場合もあります。記事の内容を参考にして、必要に応じて病院を受診してください。
ストレス
仕事や人間関係などの精神的ストレスによって耳鳴りが起こることがあります。ストレスは身体のさまざまな機能に影響を及ぼし、その一つとして自律神経の乱れを引き起こします。自律神経は体の基本的な機能を調整する重要な役割を果たしていますが、ストレスが長期間続くとこの調整がうまくできません。その結果、耳の血流が悪くなり、耳鳴りが発生します。
耳鳴りの症状がさらにストレスになり、耳鳴りが悪化する悪循環に陥ることもあります。規則正しい生活習慣を整える、趣味に打ち込むなど早めにストレス解消を行いましょう。
睡眠不足
睡眠不足が続く場合も自律神経が乱れるため、耳鳴りが発生します。耳鳴りが気になって眠れなくなってしまうと、睡眠不足によるストレスでさらに耳鳴りが悪化することもあるため、十分で質の高い睡眠は大切です。
寝る前にリラックスする時間を確保したり、寝る前のスマートフォンやパソコンの操作を控えたりなど、睡眠の質を高める工夫を行いましょう。
無音が気になる方は、小さな音でラジオや音楽を聴きながら眠るのも一つの手段です。
外傷
ヘッドホンやイヤホンの使いすぎは耳鳴りの原因の一つです。ヘッドホンやイヤホンで長時間大きな音を聞くと、音を脳に伝える有毛細胞が徐々に壊れてしまうからです。ヘッドホンやイヤホンを長時間使ったあとに耳鳴りがする場合は、しばらく使用を控え、大きな音を聞かないようにしましょう。
交通事故やスポーツなどで頭や耳をぶつけることも耳鳴りの原因になります。頭や耳をぶつけた場合の耳鳴りは、脳や内耳神経に障害が起こっていることもあり大変危険な状態です。早急に病院を受診してください。
騒音
騒音による耳鳴りは「音響外傷」とも呼ばれ、コンサートや音楽フェスなど非常に大きな音を聞いたあとに発症します。
耳鳴りは自然に落ち着きますが、長引く場合もあります。1週間以上耳鳴りが続いている場合は治療が難しくなるため、大きな音を聞いたあとに耳の異変を感じたら、すぐに耳鼻科を受診してください。
風邪や疾患
風邪や中耳炎などの耳の疾患を発症している場合も耳鳴りが起こる場合があります。風邪や耳の疾患は耳の内部に炎症を引き起こしたり、耳と鼻をつなぐ耳管が詰まったりして耳鳴りを誘発します。
風邪が原因の場合、耳鳴りと一緒に鼻水や咳などの症状が起こることが多いです。耳の痛みや耳垂れがある場合は中耳炎を疑いましょう。風邪や疾患が原因の場合は、病院で適切な治療を行うことで治りが早くなります。
加齢
加齢も耳鳴りの原因で、高齢者の2~3割に耳鳴りがあると言われています。加齢に伴って聴力が低下すると、脳は音を集めようとして活発に活動します。その影響で耳鳴りが発生してしまうのです。
加齢による耳鳴りは、重篤な病気とは関係ありません。ですが、耳鳴りがつらいと感じる場合は補聴器の使用や薬の服用などで症状を和らげることができます。加齢とともに耳鳴りが気になるようになった方は、ぜひ耳鼻科に足を運んでください。
耳鳴りが片耳から聞こえるとき
片耳から耳鳴りが聞こえる場合は、耳自体に異常が起きている可能性が高いです。片耳からの耳鳴りの主な原因は次のとおりです。
- 中耳炎
- 突発性難聴
- メニエール病
- 耳垢の詰まり
- 外耳道炎
片耳からの耳鳴りを放置していると、症状が悪化したり治りが悪くなったりする場合があります。片耳からの耳鳴りがずっと続く場合や、難聴などの症状がある場合は、すぐに耳鼻科を受診して適切な治療を受けましょう。
片耳からの耳鳴りに加えて激しいめまいがある場合は、突発性難聴もしくはメニエール病が疑われます。
耳鳴りが両耳から聞こえるとき
両耳から耳鳴りが聞こえる場合もあります。これは、騒音などの外部刺激や加齢によって、脳に音を伝える有毛細胞が壊れることが原因です。補聴器の活用や音楽を聴く際は適切な音量を保つことなどで改善が期待できます。
加齢に伴い徐々に進行する難聴である加齢性難聴(老人性難聴)は、老化現象の一つとして多くの人が経験します。この疾患により両耳から耳鳴りがすることもあります。損傷した有毛細胞を再生することはできないため治療は難しいですが、補聴器により症状を和らげられる可能性はあります。
また、メニエール病が原因の場合もあります。メニエール病は片耳だけの耳鳴りを伴う場合が多いですが、約3割の方は両耳から耳鳴りが聞こえるケースもあり注意が必要です。めまいや吐き気など、耳鳴り以外の全身の症状がある場合はメニエール病を疑ってください。
耳鳴りを治す方法
耳鳴りを治す方法には、自分でできるものと耳鼻科での治療が必要なものがあります。自分でできる方法は以下の7つが挙げられます。
- 休息をとる
- 体の緊張をほぐす
- 血行をよくする
- 喫煙やカフェイン摂取を控える
- ビタミンB12を摂取する
- ストレッチする
- ツボ押しをする
生活習慣の見直しや簡単なストレッチ・ツボ押しで耳鳴りが改善する場合もあります。一方で、病院で行う耳鳴り治療は以下のとおりです。
- 薬物療法
- 音響療法
- 心理療法
- 耳鳴再訓練療法(TRT)
- 補聴器の装用
耳鳴りの治し方について、以下の記事では具体的なツボの押し方や医療機関で行う治療の内容まで詳しく解説しています。耳鳴りの治し方を詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
>>耳鳴りの治し方を詳しく解説!自分でできるツボ押しから耳鳴りとの向き合い方まで!
耳鳴りの原因として考えられる病気を症状別に紹介
これから紹介する音の耳鳴りが発生している場合、危険な病気が隠れている可能性があります。それぞれの耳鳴りの原因かもしれない病気を解説しますので、症状に当てはまる場合は、速やかに病院を受診してください。
高音の耳鳴り(例:「キーン」「ピー」)
「キーン」や「ピー」といった高音の耳鳴りが聞こえる場合は、以下の病気の可能性があります。
- 突発性難聴
- メニエール病
- 聴神経腫瘍
- 音響外傷
- 老人性難聴
- 薬剤性難聴
- 自律神経失調症
片耳からの耳鳴りで難聴が伴う場合は、突発性難聴もしくはメニエール病の可能性が高いです。メニエール病の場合は突然の激しいめまいや吐き気が起こることも特徴です。めまいや吐き気を伴う耳鳴りの場合はメニエール病の可能性が高いため、耳鼻科で適切な治療を受けましょう。
人込みでの会話が聞き取りづらいなど、徐々に聴力が低下している場合は聴神経腫瘍が疑われます。耳鳴りが発生する前に大きい音を聞いた場合は音響外傷、加齢とともに耳鳴りが聞こえる場合は老人性難聴の可能性が高いです。
アミノグリコシド系抗菌薬やサリチル酸剤などを服用している場合は薬剤性難聴の可能性が考えられます。自分が飲んでいる薬がわからない場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。自律神経失調症の場合は、耳鳴りとともに動悸や発汗、めまいや頭痛など全身の症状が一緒に現れることが多いです。
上記の症状に当てはまる場合は、すぐに病院を受診することをおすすめします。
重低音の耳鳴り(例:「ブーン」「ボー」「ゴォー」「ザー」)
「ブーン」「ボー」「ゴォー」「ザー」といった低い音の耳鳴りが聞こえる場合は、以下の病気が疑われます。
- メニエール病
- 低音障害型感音難聴
- 中耳炎・耳管狭窄症
メニエール病の場合、キーンとした高音の耳鳴りの他に、重低音の耳鳴りを感じる場合もあります。めまいや吐き気がある場合はメニエール病の可能性が高いです。耳が詰まった感じがする方や自分の声が大きく聞こえる方は低音障害型感音難聴が疑われます。耳の痛みや自分の声が響いて聞こえる場合は中耳炎もしくは耳管狭窄症の可能性があります。
いずれも放置していると症状は悪化する場合が多く、医療機関で適切な治療を受けることがおすすめです。
持続する拍動性の耳鳴り(例:「シャー」「ジョー」「ドクドク」「ドコドコ」など)
拍動性の耳鳴りは、脳や血管の異常が原因である場合が多く、以下のような病気の前兆として現れることがあります。
- 脳梗塞
- 脳出血
- 脳腫瘍
上記の病気は命に直結する場合も多く、非常に危険な状態です。拍動性の耳鳴りが聞こえる場合は、すぐに耳鼻科や脳神経外科を受診してください。
耳鳴りが気になるときは耳鼻科へ行こう!
耳鳴りは周囲に音が発生していないのに、自分の耳の中で音が聞こえる症状で、原因は多岐にわたります。
耳鳴りの主な原因には、ストレスや睡眠不足、加齢などが挙げられます。イヤホンやヘッドホンの使いすぎ、コンサートなどで大きな音を聞くことも耳鳴りを誘発する原因です。中にはメニエール病や自律神経失調症などの全身の病気が隠れている場合や、脳梗塞や脳腫瘍などの重大な病気の前兆として耳鳴りが発生している場合があり、注意が必要です。
耳鳴りが気になるときは、早めに耳鼻科での診察を受けることが大切です。耳鼻科での詳細な検査で原因を特定することで、適切な治療を受けられます。耳鳴りが日常生活に支障をきたす前に、早めに専門医である耳鼻科に相談してください。