耳鳴りはストレスで発症することも!自分でできる解消法や続く場合の対処も紹介

耳鳴りが続くことに困っていませんか?耳鳴りを発症する原因はさまざまですが、その1つにストレスがあります。この記事では、自分でできる耳鳴り解消法や、耳鳴りが続く場合の対処法を中心に解説します。

目次

その耳鳴りの原因はストレスかも

耳鳴りとは、周りで音がしていないのに耳の中で雑音が聞こえる症状です。原因は耳の病気や加齢による難聴などさまざまで、ストレスで発症する場合もあります。

ストレスが原因の耳鳴りの特徴は、主に以下のとおりです。

  • 「ビービー」「キーン」など電子音や金属音のような耳鳴り
  • 肩こりや全身の不快感
  • 耳をふさぐと、耳鳴りが強くなる

これらの特徴に当てはまる場合は、ストレスが原因である可能性が高いといえます。

ストレスが原因の耳鳴りを解消する7つの方法

耳鳴りを解消する方法は、主に以下の7つです。

  • ヘッドホンやイヤホンを使い続けない
  • 十分な休息をとる
  • 生活習慣を整える
  • 蒸しタオルで耳を温める
  • 耳鳴りを気にしすぎない
  • ツボ押しをする

それぞれ詳しく説明していきます。

ヘッドホンやイヤホンを使い続けない

ヘッドホンやイヤホンを長時間使って音楽を聴いたりオンライン会議に参加したりすると、耳の中の有毛細胞(*)が傷ついて「音響外傷」という病気を発症する場合があります。音響外傷は耳鳴りや難聴を引き起こすため、ヘッドホンやイヤホンの長時間使用は避けましょう。

WHO(世界保健機構)では、イヤホンやヘッドホンでの音楽視聴は1日1時間以内にとどめるよう警告しています。

*有毛細胞:感覚細胞の1つ。音の振動を電気の信号に変えて脳に伝える役割がある。

十分な休息をとる

十分な休息をとることで自律神経のバランスが整い、耳鳴りの改善が期待できます。

以下の行動を意識して、きちんと休息をとるようにしましょう。

  • 質の良い睡眠をとる
  • ゆっくりお風呂に入る
  • 仕事や家事から離れて、休憩する時間を作る
  • 森林を歩いたり眺めたりする

過度な疲労は肩こりなどを引き起こし、耳周りの血流を悪化させる可能性があります。疲れやストレスは、自律神経のバランスを乱して耳鳴りの原因となるため、耳鳴り解消のためにも、十分な休息をとりましょう。

生活習慣を整える

生活習慣を整えることで、耳鳴りを含めた耳全体の不調が改善する可能性があります。食事に気をつけたり、適度な運動をしたりして生活習慣を整えましょう。

食事は3食バランスよく取ることを意識して、ゆっくりとよく噛んで食べるようにしてください。また、原因不明の耳鳴りの場合、脳の過敏が影響していることが分かってきました。脳の過敏を抑えるためには、以下の栄養素が効果的とされています。

  • マグネシウム
  • ビタミンB2
  • 食物繊維
  • カルシウム

野菜や海藻、きのこ類などは、これらの栄養素を多く含んでいるので、生活習慣改善もかねて、積極的に食べましょう。

生活習慣を整える方法は食事だけではありません。以下のように食事以外で生活習慣を整えることも大事です

  • 禁煙を心がける
  • 定期的に運動する
  • 睡眠時間を規則正しくする

運動は「適度なストレス発散」、規則正しく質の良い睡眠は「心身の休息」につながっており、耳鳴り解消に効果的です。

生活習慣を整える具体的な方法は、キーンとする耳鳴りはなぜ起こる?病院に行く目安や治療法も解説の記事でも詳しく説明しているので、あわせてご覧ください。

蒸しタオルで耳を温める

蒸しタオルで耳を温めると、耳周辺の血液やリンパの流れが良くなるため、耳鳴り解消に効果的です。

耳鳴りが起こる人は、あごの骨格がゆがんでいることが多いとされており、骨格のゆがみは、耳周辺の血液やリンパ液の流れが悪くなる原因になります。血流を良くすることは、耳鳴り改善につながるのでおすすめです。

適度にストレス発散をする

ストレスは耳鳴りの発症、もしくは悪化の原因になるため、上手に発散させることが大切です。主なストレス解消法を、以下に示しました。

  • 好きな趣味を楽しむ
  • 家族や友人など、気の合う人との会話を楽しむ
  • 無理のない範囲で身体を動かす

趣味や会話、運動に没頭している時間は、自分の関心が耳鳴り以外にあるため、耳鳴りによるストレスも軽くなります。日常生活の中で、こういった時間を少しでも取り入れていきましょう。

耳鳴りを気にしすぎない

耳鳴りを意識しすぎると、脳が耳鳴りに対してより敏感になり、耳鳴りを強く感じやすくなります。結果として、耳鳴り自体がストレスとなってしまうのです。

好きな音楽やラジオ番組を聞くなどで、耳鳴りを気にしない時間を作りましょう。ただし、1時間以上のイヤホン・ヘッドホン使用は避けてください。

耳鳴りを気にしすぎないために役立つ方法が、マインドフルネス瞑想です。マインドフルネス瞑想とは、「今、この瞬間」に目を向けて行う瞑想です。背筋を伸ばしたあぐらの姿勢で軽く目を閉じ、自分の呼吸に集中してください。最初は3分程度から始めて、徐々に時間を延ばしていきましょう。

マインドフルネス瞑想は、ストレス軽減に効果があるとされており、耳鳴りの対処法としても効果が期待できます。

ツボ押しをする

ツボを押すことで耳周辺の血流が改善されて、耳鳴りが解消される可能性が高まります。ツボ押しをするときは、力を入れずにゆっくりとやさしく円を描くように行ってください。

耳鳴りへの効果が期待できる12個のツボを表に示しました。

ツボの名称ツボの位置
聴宮(ちょうきゅう)耳穴の前にあるツボ。耳の付け根のほぼ中央。
耳門(じもん)耳の付け根の上にあるツボ。聴宮の指1本程度上が目安。
翳風(えいふう)耳の後ろにあるツボ。耳たぶの後ろにあるくぼみ。
完骨(かんこつ)耳の後ろにある、出っ張った骨の下にあるくぼんだ部分。
瘈脈(けいみゃく)耳の後ろの付け根にある、出っ張った骨の下のくぼみ。
角孫(かくそん)耳を前に折り曲げたときに、耳の一番上が頭に触れる場所。
頭竅陰(あたまきょういん)耳の後ろにある、出っ張った骨の上端部分。
天柱(てんちゅう)首の後ろにある2本の筋肉のうち、内側にある左右のくぼんだ部分。
風池(ふうち)首の後ろにある2本の筋肉のうち、外側にあるくぼんだ部分。
百会(ひゃくえ)頭頂部に指を当てたときに、自然にくぼんでいる部分。
中渚(ちゅうしょ)小指と薬指の付け根から下にあるツボ。軽く手を握ったときに、小指と薬指の間にできるくぼみ。
太谿(たいけい)足首(くるぶしとアキレス腱の間)にあるツボ。内くるぶしに親指を当てて、アキレス腱側にすらしたときに触れるくぼみ。

ツボの押し方や、耳鳴り以外に期待できる効果など、耳鳴りの治し方を詳しく解説!自分でできるツボ押しから耳鳴りとの向き合い方まで!の記事で詳しく説明しています。あわせてご覧ください。

耳鳴りが続くときに考えられる原因

耳鳴りが続く場合は病気が隠れている可能性があるため、早めに耳鼻科を受診しましょう。耳鳴りが続くときに考えられる原因としては、以下の病気があげられます。

  • 突発性難聴

突発性難聴は、急に耳が聴こえなくなる病気で、症状が片耳だけに出ることが一般的です。

耳が聴こえなくなるほか、今まで経験したことがないような耳鳴りがしたり、めまいを伴ったりします。

突発性難聴を放置すると、聴こえない状態が続く可能性があるため、遅くとも2週間以内には耳鼻科を受診しましょう。治療が早いほど、難聴や耳鳴りが治る可能性が高まります。

  • メニエール病

メニエール病は、目が回るようなぐるぐるとしためまい、吐き気、嘔吐といった発作的な症状が突然起こり、何度も繰り返す病気です。めまい発作の前後に片側だけの耳鳴り、難聴、耳のつまり感といった症状も伴います。進行すると、両耳で耳鳴りが起こる場合もあります。

  • 音響外傷、騒音性難聴

音響外傷とは、長い間大きな音を聴き続けることで、内耳(*)にある有毛細胞が傷つき壊れてしまう現象です。

騒音性難聴は、85デシベル以上の大きな音を長い間聴き続けることで発生する難聴です。85デシベルとは、街なかの騒音レベルだとイメージしてください。

騒音性難聴を防ぐための許容範囲を考えると、85デシベルの場合は1日8時間が限度です。

なお、コンサート会場での音量は110~115デシベルとされています。コンサートに参加して、一時的に大きな音を聴いた場合でも、騒音性難聴を発症する可能性があると知っておきましょう。

*内耳:耳の奥にある器官で、音を認識する蝸牛(かぎゅう)とバランス感覚をつかさどる三半規管に分かれる。

  • 老人性難聴

老人性難聴とは、年をとることで起こる聴力の低下で、耳鳴りや聴力低下が両耳に起こります。老人性難聴の原因は、耳にある有毛細胞が衰えたり、数が減ったりすることです。

  • 薬剤性難聴

薬剤性難聴は、解熱鎮痛剤であるアスピリンや、抗生物質であるストレプトマイシンなどの薬剤による難聴や耳鳴りです。耳鳴りは、薬を飲み始めてから比較的早い段階で起こり、難聴になる前に、耳鳴りが発生することが多いという報告もあります。

病院での耳鳴り治療方法

病院で行われる耳鳴りの治療法は、主に以下の3種類です。

  • 薬物療法

突発性難聴や音響外傷などで処方される薬は、ステロイドや血管拡張剤、ビタミンB12製剤などです。メニエール病の場合は、自律神経調整剤や漢方薬などが処方されます。老人性難聴の場合、病気が原因ではないため薬による治療は難しいといわれており、補聴器で聴こえを補うことが必要です。

  • 心理療法

カウンセリングを受けたり、耳鳴りの正しい知識を得たりすることで、耳鳴りへの不安や苦痛を解消する治療法です。耳鳴りが辛い、誰も辛さを分かってくれないというマイナスの感情があると、不安や苦痛が生じます。不安や苦痛はストレスになり、より耳鳴りを悪化させるという悪循環を生み出します。心理療法の目的は、悪循環を断ち切ることです。

  • TRT療法

TRT療法とは、補聴器やサウンドジェネレーターなどを用いて耳鳴り以外の音を流して、耳鳴りが気にならなくなることを目的とした治療方法です。治療効果を高めるためには、TRT療法に対する理解が重要なので、十分なカウンセリングをすることが大切です。カウンセリングでは、耳鳴りが起こるしくみを理解して、耳鳴りへの不安をなくしていきます。

耳鳴りが気になる場合は耳鼻科で相談しよう

(記事をまとめ、耳鳴りが続く場合はストレス以外の要因が隠れている旨を記載してください。

耳鳴りが気になる場合は、耳鼻科で適切な治療を受けることを促してください。)

この記事では、ストレスが原因で耳鳴りが起こる場合もあることや、ストレスから来る耳鳴りの解消法などを解説しました。

ストレスから来る耳鳴りの主な解消法を7つ紹介しましたが、それらの方法を試しても耳鳴りが続くときは、ストレス以外の要因が隠れている場合もあります。

さまざまな対処法を試しても耳鳴りが続く、耳鳴り以外の症状があるなど、耳鳴りについて気になることがある場合は、早めに耳鼻科を受診して適切な治療を受けましょう。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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