【左耳/右耳だけ】片耳の耳鳴りが続く理由とは?原因となる病気や耳鼻科での治療法を解説

片耳だけの耳鳴りに悩んでいませんか?

片耳だけに起こる耳鳴りは原因がさまざまで、放っておくと症状が悪化することもあります。この記事では片耳で耳鳴りが起こる原因や耳鼻科でおこなう治療法について詳しく解説します。

目次

片耳で耳鳴りがする原因とは?

左耳だけなど片耳の耳鳴りは、症状が続く場合とすぐ治まる場合で原因が異なります。それぞれ片耳の内耳の異常や、自律神経の乱れが関係しています。

「キーン」「ピー」とした高音の耳鳴りの場合

片耳だけに「キーン」「ピー」などの高音の耳鳴りが続く場合は、突発性難聴やメニエール病によって、耳鳴りがしている耳の内耳に異常が起きている可能性が考えられます。内耳とは、外部から入ってきた音をつかさどる「蝸牛」と、身体のバランス感覚をコントロールする「三半規管」から構成される耳の奥にある器官です。

突発性難聴やメニエール病は、片耳の蝸牛や三半規管に支障をきたすことが多く、難聴や高音の耳鳴りが現れます。適切な治療を受けなければ症状が悪化する可能性もあるため、できるだけ早めに耳鼻咽喉科に受診しましょう。

耳鳴りがすぐに治る場合

片耳の耳鳴りがすぐに治る場合は、自律神経が乱れ、内耳の血流が滞っている可能性があります。自律神経は体の状態に合わせて血液の流れなどを自動的に調整する神経です。睡眠不足やストレス、偏った食事などによって乱れやすくなります。

自律神経が乱れて体の血流が悪くなると、内耳の血流も悪化して蝸牛や三半規管の活動が落ち、片耳だけに耳鳴りが起こることがあります。原因をなくすことですぐ改善するケースが多いため、規則正しい生活を送ったり、耳や肩の筋肉のコリをほぐしたりして、耳まわりの血流が悪くならないように心がけましょう。

片耳からの耳鳴りの原因になる病気

片耳の耳鳴りは、突発性難聴やメニエール病以外にも、中耳炎や耳垢の詰まり、外耳道炎などで起こります。それぞれの病気の原因や症状について詳しく見ていきましょう。

中耳炎

中耳炎は細菌やウイルスが鼻を通って中耳(鼓膜の内側にある器官)に入り、炎症を引き起こす病気です。左耳/右耳など片耳に起こると、耳鳴りや激しい痛み、詰まり感、耳だれ(*)などが発生します。中耳炎は繰り返すことも多く、薬物療法で治らない場合は鼓膜を切開するなどの処置が必要になるケースもあるため、疑わしい症状がある場合は早めに耳鼻咽喉科へ受診しましょう。

*耳だれ・・・耳から膿や血液などが混じった液体が出てくる症状

突発性難聴

片耳の症状が前触れもなく急に起こる病気を突発性難聴といい、片耳だけの耳鳴りや難聴のほか、めまい、吐き気なども現れることがあります。蝸牛のなかの音を感じ取る有毛細胞がなんらかの原因で壊れ、音の情報が脳に上手く伝えられなくなることによって生じます。

突発性難聴は治療が遅れるほど完治が難しくなり、症状が残る可能性が高くなりやすいです。発症後1週間以内に治療を受けることで、約4割の人は完治すると言われているため、できるだけ早く適切な治療を受けましょう。

メニエール病

メニエール病は内耳のなかにあるリンパ液が過剰に溜まり、蝸牛や三半規管が圧迫される病気です。目の前が回転するようなめまいが10分から数時間続いたり、耳鳴や難聴、吐き気などの症状が見られたりします。

耳鳴りは片耳で起こるケースが多く、めまいが発生する前に見られやすいです。治療法は薬物療法が中心で、体の血行や水分量を調節して内耳にリンパ液が溜まるのを防ぎます。症状の改善がなかなか見られない場合は、めまい外来に通って症状に合った治療法を探すこともあります。

耳垢の詰まり

耳垢が詰まり、外耳道(耳の入り口から鼓膜までの穴)が塞がる状態を耳垢栓塞(じこうせんそく)といい、耳鳴りを生じることがあります。耳掃除で耳垢を奥に押し込むことで起こるケースが多く、難聴や耳の詰まり感、違和感なども見られます。耳垢を排出しにくい高齢者は湿った耳垢が詰まりやすく、認知症の原因にもなるため放っておくのは危険です。

耳垢が詰まっている場合は自分で無理にかきだすのではなく、耳の入り口を綿棒で拭き取るか、耳鼻咽喉科で取ってもらうことが大切です。耳掃除の方法や注意点は以下の記事でも解説していますので、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

>>正しい耳掃除のやり方!注意点や掃除に関する豆知識をまとめてご紹介

外耳道炎

外耳道炎は耳かきや爪などで外耳道に傷が生じ、細菌が感染して炎症が起こった状態で、悪化すると耳鳴りや難聴が生じます。耳の痛みやかゆみ、耳だれ、詰まり感も出るのが特徴で、痛みは耳をひっぱったり入り口を押したりしたときに悪化しやすいです。中耳炎の耳だれや、詰まった耳垢によって外耳道がかぶれて生じることもあります。

耳鼻科での耳鳴り治療3選

耳鼻咽喉科では耳鳴りに対して、原因に合わせた薬物療法をおこない症状を和らげます。医療機関によっては耳鳴りへ意識が向かないようにするために、音響療法やTRT療法をおこなうこともあります。

薬物療法

突発性難聴では、主にステロイド製剤を内服や点滴によって投与し、効果が十分に得られない場合は、耳のなかに直接薬を注入します。突発性難聴やメニエール病に対しては、血管拡張剤や血流改善薬、ビタミンB12製剤の内服によって内耳の血行をよくするのが効果的なこともあります。中耳炎や外耳道炎では鎮痛剤や抗菌薬を内服薬で投与し、炎症を抑えることが多いです。

音響療法

音響療法は特定の音を流して耳鳴りへの意識を避けることで、耳鳴りを「快適で意識しない音」として慣れてもらう治療法です。症状が軽度の場合は、CDやラジオなどのサウンドジェネレーターを使って環境音などを小さな音で流しますが、重度の場合は専用の補聴器を使用することもあります。音響療法は耳鳴りの改善だけでなく、緊張やストレスを和らげ、リラックスできる効果もあります。

TRT療法(耳鳴順応療法:Tinnitus Retraining Therapy)

TRT療法は音響療法とカウンセリングを組み合わせた治療法を指し、耳鳴りの苦痛を軽減させることを目的としています。カウンセリングでは主に音が聞こえる仕組みや、耳鳴りの発生と悪化のメカニズムについて患者に説明し、耳鳴りに対する誤解や不安を取り除きます。

TRT療法による音響療法の内容は、耳鳴りによる生活への支障や、難聴や聴覚過敏(*)の有無などで異なるのが特徴です。以下のようにカテゴリーで分類されています。

(*)聴覚過敏・・・ほかの人が聞いても何も感じない音に対して苦痛を感じる症状

カテゴリー症状音響療法
0耳鳴りがあるが、生活に大きな支障をきたさない環境音などを聞いて完全に静かな環境を避ける
1難聴の自覚症状はないが、耳鳴りがあり生活に大きな支障をきたすサウンドジェネレーターを使用する
2耳鳴りと自覚的な難聴があり、生活に大きな支障をきたす補聴器を使用する
3耳鳴り・難聴のほかに聴覚過敏の症状が伴うサウンドジェネレーターを使用する(苦痛にならない音の大きさから始める)
4ほかの音を聞くことで耳鳴りが悪化するサウンドジェネレーターを使用する(認識できる最も小さい音から始める)

左耳/右耳など片耳だけからの耳鳴りが続くときは放置せずに病院へ行こう

片耳で起こる耳鳴りは、高音の耳鳴りが続く場合とすぐに治る場合でそれぞれ原因が異なります。自律神経の乱れによる耳鳴りは生活習慣を整えることで改善する場合が多いですが、病気が隠れている場合は適切な治療を受けなければ症状が悪化する可能性があります。

耳鼻咽喉科で片耳の耳鳴りに対しておこなう治療は、症状を和らげる薬物療法や、耳鳴りへの認識を変える音響療法やTRT療法です。患者の状態に合わせた治療法を選択してもらえますので、耳鳴りの症状が続く場合はできるだけ早めに受診しましょう。

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この記事の監修者

山中 弘明のアバター 山中 弘明 よし耳鼻咽喉科 院長

【経歴】
・東京医科大学医学部 卒業
・東京医科大学八王子医療センター 初期研修修了
・日本大学板橋病院 勤務
・日本大学病院 勤務
・都立広尾病院 勤務
・よし耳鼻咽喉科 承継

【資格】
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・身体障害者福祉法 第15条 指定医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医

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